八つ墓村(1996)のレビュー・感想・評価
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他作、ドラマと数々見たが、いつもすっかり犯人を忘れる横溝正史もの(...
他作、ドラマと数々見たが、いつもすっかり犯人を忘れる横溝正史もの(笑)今回もまた楽しめた。
豊川悦司が金田一か、別に悪くはなかったが、やはり馴染みがない。それもあってか、全体的になぜか今ひとつの印象。でもこれ、しっかり市川崑監督なんですね。
このようにして2006年の日本映画の式年遷宮は準備されたのだと思えるのです
1996年公開
1979年の「病院坂の首縊りの家」以来の金田一耕助シリーズ
17年ぶりのまさかのシリーズ再開です
しかし、本作を市川崑監督の70年代の金田一耕助シリーズと同列には扱いたくないのが、残念ながら正直なところです
単に主演が石坂浩二ではないからではありません 多くの点で異なるからです
美術、衣装は特段さほど気になる点は有りません
音楽も本編の邪魔にならないのは良い点ながら、印象に残るようなものはありません
カメラは1977年の「悪魔の手毬唄」で撮影助手をした五十畑幸勇で、照明も超ベテランの下村一夫
この二人なのに、まるでビデオで撮ったような深みのない映像なのは一体どうしたことか
本当にクレジットどうりこの二人が撮ったとおもえる奥行きと格調のある少数のいくつかのシーンと、この二人ではない人が撮ったとしか思えないテレビドラマのような平坦なほとんどの映像が混在しているのです
問題の多くは俳優です
昭和の時代の俳優と平成の新世代の俳優の混成で本作は撮られているのが最大の特徴です
昭和の俳優達はやはり安定感があります
その分悪くいえばマンネリです
平成の俳優達は、新味はあるものの演技の質は首を傾げざるを得ません
村人の端役までそうなのです
市川監督がよく我慢したなと思います
どうして直そうともしなかったんだろうと、考えてしまいます
匙をなげた?
いや、むしろ彼等彼女達に好きなようにやらせたのだと思います
自分のベストと思うものを出せと
それをそのまま撮ってあげるからという方針だったように思います
演出も、市川監督が直接差配したであろうと感じるのは、琴の超アップと幾つかぐらいで、テレビドラマのようなレベルで終始しました
八つ墓村の白眉といえば、やはり32人殺しのシーンです
それがあのような出来映えで市川監督がよくオーケーをだしたものだと思います
本作の製作意図は、70年代に撮り残した金田一耕助ものを撮りたいというものではないと思います
平成の時代の若手に市川監督が自分達の世代の名前を使って好きにやってみさせようというものだったように思います
こういう結果になっても、それはそれでいい
その結果をかみしめて若手達が成長していけばいい
そういうものだったように思うのです
だから、本作の丁度10年後の2006年に市川監督は、1976年の「犬神家の一族」を当時と同じ脚本でセルフリメイクしたのだと思います
つまりそれが若手映画人達のその後の成長を確認する卒業試験であったのでしょう
10年後に君たちが、昔と同じ脚本を使って僕たちの世代を乗り越ていけるのか確かめようと本作の現場で約束していたのかもしれません
このようにして2006年の日本映画の式年遷宮は準備されたのだと思えるのです
古畑任三郎をまぶしたトヨエツ・金田一
豊川悦司の金田一は背が高くてかっこいいし明るいし明晰でさっぱりしていて饒舌。饒舌であればあるほど、石坂浩二の少し低めの声の良さとしゃべり方がいかに耳に心地よかったかわかった。トヨエツは話さない方がよくてあの大きな手と長い指を見ることができればそれだけで満足、がTVドラマ「愛していると言ってくれ」を見た後の自分の感想だったことを思い出した。この映画でもトヨエツの手と指がよく映っていた。そして早口で滔々と話す様子はまさに田村正和の古畑任三郎。この映画公開前に古畑ドラマはもう始まっていた。西村雅彦が時計屋さん役でこの映画に出演していて嬉しかった。西村雅彦は本当に上手い!
渥美清・金田一の「八つ墓村」より登場人物は増えているが、スピード感ある構成と台詞(ちょっと説明しすぎでもあったが)が良かったのでこんがらがることもなく冗長にもならず説得力あるストーリー展開。原作(内容は忘れてます)には居る慎太郎を登場させたことで、美也子の気持ちも職業も納得がいくものになった。美也子役の浅野ゆう子、良かったです。
村の小さな郵便局が大事な役割を担っていて時代を感じ吉田日出子がほっとする空気を作ってた。郵便局場面の始めと終わりで同じ男の子がおつかいで「つかあさい!」と来るのはシンメトリーで美しくお気に入り!慎太郎の妹役の場面は少なかったが映画がきちんと締まる役割を担っていた。前回はショーケンが演じていた辰弥役は童顔でどちらかというと少年なので、春代(萬田久子)から好きだと言われたのにはかなり違和感を覚えた。辰弥くんの職場の工場で生産されているのが「ヨツワ石鹸」!いいねー!
時代設定は昭和24年。横溝作品は戦前・戦後を絡ませて初めて生きるのではないだろうか。日本家屋の街並みや枕屏風といったザ・日本のアイテム、機関車(市川崑は機関車や列車フェチなんだろうか?「鍵」を思い出す)や長持ちからはみ出る布ーはみ出し布は障子であれ道成寺の鐘であれーやモノクロ画面に真っ赤な血糊がピュー!は市川崑の金田一シリーズの映像美に貢献する大事な素材だ。
エンディングで流れる小室等の歌はなんか合わなかったなー。残念。
平成に作られた市川崑監督の金田一
石坂金田一を観てしまった勢いでそのまま観たトヨエツ金田一。監督は石坂金田一と同じ市川崑なので、血がブシャーっとなる演出は変わらないものの・・・なんか薄味になってませんか?昭和の頃の勢いは色々と規制が厳しくなった平成では難しかったのでしょうか?
石坂金田一から続けてみたせいかトヨエツ金田一は豊川悦司が金田一の物真似してるように見えてしまって。頭を掻いたらフケが大量発生する所は引き継いでたりするのですが、全体的に昭和の方がインパクトあったよなぁっという印象を受けました。
相変わらず加藤武警部が出ているのは良かったですね。同じ金田一シリーズでの統一感あります。でも、メッチャ歳取ってたー‼️
何だかんだで超有名な探偵金田一耕助。今まで色々な俳優さんが演じてますし、もしかするとこれからもあるかもしれないのですが、昭和に作られた作品のようにその時代の空気をパッケージするのは難しいのかなっと思いました。
渥美清がトヨエツにチェンジ
2019年3月15日 #八つ墓村 (1996年版)鑑賞
どうしても #豊川悦司 の #金田一耕助 を見ながら #石坂浩二 はどんなだったっけ?と考えながら見てしまったが、#渥美清 だったらしい。比べながら見てた自分が恥ずかしい。
#豊川悦司
悪くない出来だけに最も面白い鍾乳洞追いかけシーンがないのが残念
典子(さとこ)が原作通りに描かれた初めての映像化作品。浅野ゆう子も初めて女優として魅力を感じた。岸田今日子の双子のババアも松竹版よりよろし。ただ鍾乳洞シーンがズバッと切られて無いのがかえすがえすも残念。
村が怖い
この作品で何が一番怖かったかって、殺人や祟りではなく閉鎖的なザ・日本の村社会です。現代の日本社会でもそうですが、コミュニティ(村)を維持する為には犯罪でも何でもする。だから村に都合の悪いことを揉み消したり、隠したりする文化になるのですね。また、家制度による女性の不自由さにもぞっとしてしまいました。この村社会的な作品は、現代の作品にも引き継がれていてやっぱり日本は伝統的な内向き村社会文化なのだと思いました。
舞台設定が戦後すぐの村だったので、家や家財道具、着ている物を観るのも新鮮でした。
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自宅(CS放送)にて何度目かの再鑑賞。市川崑監督作では初めて“金田一耕助”に石坂浩二以外を配した金田一モノ。役作りの為、撮影前から数週間衣裳を着けて過ごしたと云う豊川悦司版金田一は微妙で、この人に爽やかな笑顔は似合わない。或る程度、横溝正史の原作に忠実だが、犯行の動機や相反する八人の構図等は変更・省略されている。喜多嶋舞演じる“里村典子”が登場するのは良いが、原作より随分幼い印象。『病院坂の首縊りの家('79)』以降、監督の金田一モノは円熟味が増した反面、実験性や監督らしさが薄れ、良くない。45/100点。
・全体に淡々とした語り口で、メリハリが無く、原作から変更された犯行の動機も首を傾げたくなる。また原作では、事件解決の糸口になる(監督の金田一モノでは常連の)白石加代子演じる“濃茶の尼”のエピソードも大幅に変更されている。同じく監督常連の岸田今日子の二役“田治見小竹・小梅”は妖怪じみており、夢に出そう。
・鑑賞日:2012年3月31日(土)
どう挑む、どう暴く、豊川金田一
Amazon Prime Videoで2回目の鑑賞(レンタル)。
原作は未読。(※現在は既読。)
野村芳太郎監督の「八つ墓村」と比べてしまいそうになりますが、両作は同一原作を使いながらも毛色の違う作品に仕上がっているので、比べるのは酷と言うもの。片やおどろおどろしいホラー。片やおどろおどろしいミステリーなのですから。
市川崑監督の独特の映像表現の素晴らしさは言わずもがな。本作でもその技量が十二分に発揮され、怨念と祟りが充満する世界観を見事に演出していて魅せられました。
ミステリーに一家言ある監督なので、推理物の魅力もたっぷり。石坂版よりも飄々さが加速した豊川金田一の、さりげなく手掛かりを集めていく過程がとても面白かったです。
しかし、伏線の張り方が少々露骨ではないかな、と…。犯人を知っている状態で観ているので不満はありませんでしたが、知らない人が観てもあっさり分かってしまうかも…
※修正(2024/03/19)
トヨエツがかっこいい
セリフ回しとか全体的に説明的で不自然。
仕方ないんだろうけど。
でもトヨエツがかっこいい!
推理の内容は全然難しくないです。
しかも、見事に八人死んでから事件解決しても…。その前に解決しなくていいのかな?笑
でもトヨエツかっこいい!
最も原作に忠実にコンパクトにまとめられた映画・八つ墓村
巨匠・市川崑が久し振りに金田一映画を手掛けた、1996年の作品。
「八つ墓村」の映画と言うと、野村芳太郎作品が有名だが、本作は最も原作に忠実にコンパクトにまとめられた。
大抵脚色される辰弥と美也子が恋に落ちるシーンは無く、大抵カットされる典子の登場、美也子と慎太郎の関係等、原作を読んでいる者としては無難に納得出来る仕上がり。
それでもカットされたシーンは多いが(辰弥と典子の恋、辰弥の実父、財宝伝説等)、原作に全忠実に映像化したら2時間にはとてもとても収まらないので、致し方ない。
豊川金田一は、コミカルで飄々としていて、なかなか好きだ。
この一回で終わってしまったのは残念。
辰弥役の高橋和也は印象薄ッ!
小竹様・小梅様の岸田今日子はハマり役!キャスティングした人は偉い!
市川崑監督はもう亡くなられてしまったが、せめてもう一作、リメイクではなく、金田一映画の新作を撮って欲しかったなぁ…。
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