野性の証明のレビュー・感想・評価
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薬師丸ひろ子の可憐な存在感
高倉健や松方弘樹など、名だたる大スター出演で、海外ロケで大規模なアクションも敢行した、角川映画の意欲作。薬師丸ひろ子のデビュー作で、骨太な男たちの中で可憐な存在感が光る。
元自衛隊の特殊部隊が殺人事件に巻き込まれた少女を引き取り育てるのだが、そのうち不穏な事件の影が忍び寄る。
脚本は荒っぽい部分もあるが、角川映画らしい迫力があって見応えはある。大野雄二の音楽も効いている。自衛隊、ミステリー、超能力要素といろいろ詰め込んで荒唐無稽の感はあるが、なぜか目が離せないエネルギーがある。
ヘリや戦車を動員したクライマックスの撮影は、カリフォルニアで行われたそうで、当時の日本映画としては破格のスケール。自衛隊の実機とは違うモデルではあるがその辺はご愛嬌。
主題歌の戦士の休息の痛切なメロディーが泣ける。
角川映画第三段
本作がデビュー作とは思えない薬師丸ひろ子氏の演技力と人を惹きつける瞳の輝きの美しさ、透明な存在感はまさに奇跡的なキャスティング。
新文芸坐さんにて「完全版 最後の角川春樹」出版記念『日本映画変革の時代・スペクタクル』(2025年4月14日~24日)と題した特集上映。本日2本目は『野性の証明』。
『野性の証明』(1978/143分)
前年の『人間の証明』(1977)をさらに上回る超スペクタクル大作。
血縁のない父娘の親子愛を主軸に前半は集落の集団殺人事件と地方都市を支配するコングロマリットの巨悪な不正を暴く社会派ミステリー、そして後半は自衛隊の特殊部隊や戦車部隊に立ち向かう一大スペクタクルアクションに広がる壮大なストーリーが実に1本で3本分ぐらいの贅沢な内容。
中野良子氏、夏木勲氏、三國連太郎氏、松方弘樹氏、丹波哲郎氏、ハナ肇氏、梅宮辰夫氏と主役級の豪華キャスティングも見どころですが、歴代最高の自衛隊特殊工作隊員という難役を圧倒的なスターの輝きと鍛え抜かれた体躯とキレのある動きで観客を納得させる高倉健氏、そして本作がデビュー作とは思えない薬師丸ひろ子氏の演技力と人を惹きつける瞳の輝きの美しさ、透明な存在感はまさに奇跡的なキャスティング。公開から50年近く経過しても彼女の衝撃的なデビューに匹敵する女優さんは思い当たりませんね。
前半の社会派ミステリーだけでも十分お釣りが来る内容ですが、後半の特殊レンジャー部隊の精鋭22名との死闘、カルフォルニアで撮影された実際の戦車やヘリコプターに立ち向かう味沢岳史(演:高倉健氏)はまさに時代を先取りした『ランボー』、画面に映し出される戦車、ヘリコプターも実物でミニチュア感はまるでなくハリウッド超大作と遜色がない大迫力ですね。
養娘・長井頼子(演:薬師丸ひろ子氏)の死の悲しみを抱きつつ、彼女を抱え数百の敵兵、戦車部隊に単身ピストル一丁で立ち向かうシーンで終わり、味沢の結末を描かないラストは高倉健氏の放つ存在感も相まって実に痺れます。
『プライベート・ライアン』(1998)のトム・ハンクス演じるジョン・H・ミラー大尉のラストも単身ドイツ軍の戦車にピストル一丁で立ち向かいグッときましたね。
またラストシーンに流れる町田義人氏の『戦士の休息』も実に心に響く、これ以上ない名曲。
『人間の証明』同様、初期の角川映画は音楽の使い方が実に効果的で相乗効果を産んでいますね。
健さんと自衛隊との戦闘場面は無理がある
かなり以前にテレビ放送で観たのだけれど。
改めて映画館で観て、こんな映画だったかな?と思いました。
角川春樹さんの妄想と森村誠一さんの妄想が盛り沢山。
撮影のスケールは大きいけれど、物語としては陳腐だと思いました。
子どもの時は、凄いな凄いなと思ってたのだけれど。
薬師丸ひろ子さんは、流石に可愛いいし、やはり才能はあったんだな、と思います。
音楽監督が大野雄二さんで、アニメ「新ルパン三世」のテイストの音楽がずっと続くから、気分的にズッコケます。使いまわしって感じましたね。
時代的にも作品的にも、自衛隊から全く協力を得られない中で、良く作った映画だとは思いました。
ハリボテの戦車の爆発は、哀しいものがあるけれど。
原作を読んだけれど、高倉健さんと自衛隊との戦闘場面はやっぱり無理があると思います。
健さんの見せ場を作るためなのでしょう。
そういう点では、この映画は、健の存在で歪んでしまった点もあると感じました。
健さんが悪いとは思わないけれど。
ワイルドな角川映画
0162 わざわざ映画にする必要あんのか?
1978年公開
高倉健、薬師丸ひろ子、レイモンド・チャンドラー
ネバーギブアップ
とりあえずひっくるめて凄いぞー
と宣伝されるも観に行く価値ないなあ~
行っとるやんけ!
薬師丸ひろ子は全くそそらなく見事に大根。
結局素晴らしいのは音楽だけ。
タイトルバック「野生の序曲」
主題歌「戦士の休息」はそれぞれいい感じ。
さすが大野雄二。
森村誠一の原作も緊張感がずっと続き読み応えあるが
よくよく考えるとあり得ない設定で最終的には
日本を陥れているし、調子に乗って書かれた満州での
出来事は全くエビデンスがなく政治的に利用され、
その後日本人を苦しめることになる。
50点
初鑑賞 1978年11月2日 三番街シネマ3
パンフ購入
ほぼ聴いてただけなのでメモ程度_φ(・_・
「俺たちが生き残るには三つの方法しかない!」みたいなセリフに笑った。三つもあるんかい!っていう。
ちゃんと観てないけど、夏八木勲さんかっこよかった。
舘ひろしが若い。
タイトルなし(ネタバレ)
ほとんど自衛隊相手の戦争みたいな作品になっている。
一般人を問答無用で射殺する自衛隊員て。
あと重要な登場人物が次々に殺されるのも気になった。
ヒロイン的な役だった中野良子がヤクザに殺されてしまったのも驚いたが、「戦友」の刑事も名誉の死を遂げ、最後には美少女・薬師丸ひろ子も自衛隊員に機関銃で射殺されてしまう。
そして、エンディングは何台もの戦車を相手に高倉健が突っ込んでいくという・・・・。
話題作だったのでとりあえず観たがとんでもない映画だ。
佐藤純彌
森村誠一の証明シリーズ
村人がほとんど殺された事件で、一人の少女(薬師丸ひろ子)が生き残っていた。
この少女は一部の記憶を失っており、自衛隊OBの主人公(高倉健)の養女になった。
地方の街を牛耳っている企業の不正を暴こうとしている女性記者(中野良子)が居た。
自衛隊を悪役にし、日本映画では珍しいアクション大作で、公開時は薬師丸ひろ子の可愛さも楽しんだ。
薬師丸はこの三年後に機関銃を持つ。
高倉健でなければ最後まで観るのも辛い
正直、ひどい映画だった
角川映画第三作
予算が掛けられて米本土での米軍訓練所でのロケによるそれまでの日本映画にないスケールのアクションシーンを撮ったというのは評価したい
そこに星は2個オマケする
だがそのアクションシーンも含め内容は酷い
人間の條件の戦争シーンの方が遥かに考証も迫力もスケールもスペクタクルの域にある
本作は実力もないものが背伸びして撮った映像というのが画面そのものにでており、観ている方が恥ずかしい
高倉健が主演でなければ最後まで観るのも辛い
薬師丸ひろ子のデビュー作だが、演技といえるほどのものはまだなにもない
脚本もプロットは出鱈目、しかも無駄に長い、演出も情緒に流されるものばかりでしらける
良いのは町田義人の主題歌のみ
それも終盤にわずかに流れるのみ
メディアミックスと大量のTVCMを投入したマーケティング戦略の成功だ
この内容でもヒットする時代だったのだ
ただ1982年のランボーと基本構造は似てるのは面白いと感じた
ザ・高倉健。 特殊工作員、街を牛耳る権力者、まさに昭和の構図。今の...
そうそうたる役者陣
薬師丸ひろ子を世に広めた迷作
目覚めよ野性
角川映画・証明シリーズ第2作。
DVD(デジタル・リマスター版)で鑑賞。
原作は未読です。
角川春樹が「人間の証明」の大ヒットの波に乗り、引き続き森村誠一の小説を映画化したバトルアクション大作。原作からだいぶん改変されていると云うことなのでまさに角川映画の本領発揮と言ったところ。ハタメタ感が満載だし、本を売るためだけにつくられた壮大なPVと思って身を委ねるしかない。
高倉健の名演とアクションを堪能出来ると同時に、角川映画のミューズ、薬師丸ひろ子のデビュー作らしい初々しさも味わえると云う贅沢さ。その他のキャストも超豪華でした。
アメリカで大規模ロケを敢行したクライマックス・シーンが圧巻。急に日本の風景じゃなくなる違和感もなんのその、勢いだけで最後まで突っ走る、この感じこそ角川映画だ!(笑)。
高倉健と薬師丸ひろ子が繰り広げる、不器用な疑似親子関係が切な過ぎる。権力者の私兵集団と化した自衛隊レンジャー部隊との熾烈な戦いを強いられる中、ふたりが肩を寄せ合いながら切り抜けていく様にハラハラ。味沢(高倉健)の怒りが爆発したラスト・シーンの悲壮感が忘れられません。
[追記(2023/07/27)]
観る度に思うことは、「あれれ、戦車はどうなったの?」と云うこと。予告編にも使われている「大勢でお父さんを殺しに来るよ!」が飛び出した後、キャタピラの音を響かせながら戦車部隊が味沢の家目掛けてやって来るのですが、次の瞬間には警察が踏み込むしそいつらを撃退したら頼子とふたりで逃げている場面になるので、後々の危機への不安を煽るイメージ映像と解釈していますが、実際のところどうなのか?
[以降の鑑賞記録]
2023/07/27:アマプラ(シネマコレクション by KADOKAWA)
※リライト(2020/07/31)
※修正(2023/07/27)
故人となった役者みるくらいしか見所なし
78年の角川映画。
これはなんというか荒唐無稽な漫画みたいな映画。
邦画低迷期に話題性優先で一発ぶち上げようと考えた角川サンは当時としては野心的で先鋭的な存在だったのでしょう。しかし今観て見ると…。
雑すぎる脚本。サスペンスと呼べないないレベルのチープな筋立て。演出もなんというかザックリ感(佐藤純彌だし)。はっきり言って酷い。当時観て心打たれた人には大切な記憶かもしれませんが…。
高倉健と薬師丸ひろ子の魅力におんぶにだっこの中身なし映画。角川大作映画の典型で映画史的に改めて見る価値はゼロですね。
男の子の憧れ
三十うん年振りに見て感じたのは、子供の頃この映画を観たことによって、大げさでなく自分の人生がいかに影響を受けていたかということ。
初めて観た時の、イントロの特殊工作隊訓練シーンが強烈でした。昔はビデオデッキもDVDも無かったので、頭の中で何度も場面を反芻したり、絵を描いたりして。
山岳地帯で生き残るための強靭な体力、精神力、読図やルートファインディング等のナビゲーション能力、水や食料の調達法、接近戦での格闘能力、射撃、トラップ、特殊車両の操縦、通信技術、医療技術・救急法、そしてそれらを駆使して愛する者を守り抜こうとする男の器量。
今見ると、映画作品としては脚本といい、演出といい、無理な設定といいツッコミどころ満載なのですが、自分にとっては人生の原点のひとつだったんだなあ〜と改めて気付かされました。
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