「僕自身がひとつの物語になってしまったんだ。」夜叉ヶ池 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
僕自身がひとつの物語になってしまったんだ。
42年前のリマスタリング。ここに出てくる役者は、老齢ながらいまだ健在の方も多い。それにつけても玉三郎の妖しさよ。現在だってこの役をやっても遜色ないんじゃないか、とさえ思えるくらいで、当時この美しさは神々しささえ感じたであろう。
この奇妙かつ幽幻な物語は、さすが「天守物語」の泉鏡花だ、と唸った。しかし、世にも不思議な物語の世界が、ファンタジー色が濃くなりだしたところから、個人的には、あれれ?と思い始めた。たぶん、鏡花の戯曲ではもっと怪談じみた世界なのだろうが、どうも「妖怪大戦争」的な造りに、おやおや?と興ざめしてしまったのが本音だ。たしかに特撮としては当時はこれが最高峰ではあろうが、やはりチープに見えてしまうのだよ。時代差を差し引いても。おまけにイ●●●の滝が出てきた時には、やりすぎだとさえ思ってしまったもの。
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