「モスラvsダガーラ」モスラ2 海底の大決戦 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
モスラvsダガーラ
平成モスラ3部作の第2作目。1997年の作品。
今回の舞台は前作の北海道から南下して、沖縄。
沖縄・石垣島を発端に日本中の海に、不気味なヒトデのような生き物が出現。それは、沖縄の伝説の国“ニライカナイ”滅亡の要因となった怪獣ダガーラ復活の前兆…。
石垣島に住む小学生の汐里はある日、不思議な生き物と出会う。
その生き物ゴーゴは、ニライカナイの秘宝の在りかを知る生き物で、その秘宝のみダガーラを倒す事が出来る。
沖縄の海に浮上したニライカナイのピラミッド。
復活したダガーラ。
ゴーゴに選ばれ、汐里と同級生の男子二人はピラミッドの中へ。
そしてダガーラと闘う為、モスラも飛来する…。
前作は怪獣ファンタジーの作風だったが、本作は沖縄を舞台に少年少女たちの海洋冒険劇。
ピラミッド内部は数々のトラップのアトラクション。
子供たちと不思議な生き物の出会い、子供たちの勇気と純真な心が世界を救う…。
まるで『ドラえもん』のよう。
のび太たちの前にゴーゴが現れたって全く違和感無い。
今回の敵怪獣、ダガーラ。
海中から飛び出してモスラの背後から急襲したりとズル賢く、水に弱いモスラに水を使った攻撃など、これぞ悪役怪獣!
苦戦し、大ピンチのモスラ…。
“水の精”で実は秘宝でもあったゴーゴの力で、モスラは変身。レインボーモスラと、アクアモスラ!
本シリーズは、モスラの七変化を見る作品でもある。
特撮の見所は…
特撮とCGを駆使して繰り広げられる、モスラとダガーラの空海バトル。
前作では無かった都市破壊シーンが本作では有り。ミニチュアは勿論、実景とダガーラの合成シーンも多く、怪獣の巨大さを見せる。
そして何と言っても、ニライカナイの巨大ピラミッド。浮上シーンや特撮大プールに作られたその全容は、これぞ特撮の醍醐味!
前作は環境破壊へのメッセージが込められていたが、本作では人間の善悪を問い掛ける。
人間が世界を滅ぼす=悪い大人。
人間が世界を救う=ピュアな子供たち。
ベルベラに利用され、ニライカナイの秘宝を狙っていた大人たちが、最後は子供たちの危機を救う。
また、エリアス姉妹とベルベラも。依然対立関係にあるが、ラストでベルベラがエリアス姉妹や人間たちのピンチを救う。
根っからの悪人など居ない。
さて、今改めて見て一番のお宝は、キャスティング。
主人公の女の子・汐里を演じるは、満島ひかり! この時、12歳!
まだまだ垢抜けない感じではあるが、充分可愛らしい。まさに、美少女の原石発見!
役者デビュー作で、この時の経験が後に役者を志すきっかけになったという。
それから12年後、『愛のむきだし』で体当たり大熱演を見せ、そして人気女優になるとは、この時誰が思ったであろう。
また、ニライカナイの王女役は、満島と後にTVドラマ『モテキ』で共演する野波麻帆。
『仮面ライダー』なんかはまさにそうだが、特撮作品は後の逸材の登竜門。今も何処かに…。
企画・原案で携わった田中友幸氏にとって、これが遺作に。ゴジラを生み出し、日本に“特撮”というジャンルを築き上げてくれて、改めて感謝申し上げます。
川北紘一特技監督もこれが東宝在籍最後の特撮怪獣映画。
また私個人にとっても、本作以降劇場で特撮作品を観なくなり(次作『モスラ3』やゴジラミレニアムシリーズはレンタルで)、次観たのは2004年の『ゴジラ FAINAL WARS』で、暫しの卒業であった…。
訂正
これで暫しの卒業ではなく、1999年に『ガメラ3』を観てました…。
あくまで、東宝特撮という事で(>_<)