「ファンタジー色濃い目でも特撮は圧巻!」モスラ(1996) しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
ファンタジー色濃い目でも特撮は圧巻!
新モスラ三部作第1部。
VHSで鑑賞。
「ゴジラVSデストロイア」でゴジラ・シリーズが一旦の区切りを迎え、ハリウッド版公開までの繋ぎだったのか、35年ぶりにモスラの主演作が製作されました。ゴジラ・シリーズとの差別化を図って、ファンタジー要素を前面に押し出した作風でした。都市破壊シーンはありませんし、自衛隊も登場しませんでした。バトルエリアも森林地帯に限定されていました。
エリアス三姉妹と云う小美人たちがこれまで以上に神秘的要素を強調して描かれ、小型モスラのフェアリーと三姉妹の長女ベルベラが操るガルガルが、主人公の家の中で小さな空中戦を繰り広げるなど、まるでメルヘン。
子供を主役にして、さながら昭和のガメラ・シリーズのような趣きがありました。ジュブナイル的なストーリーが展開されました。大人たちの振りかざすエゴをぶち壊す力の凄まじさは子供ならではだなと思いました(笑)。
モスラが主役なだけに、女の子も観られる特撮映画を目標にしていると見えて、男の子が観ると少々物足りない…のかと云うと、全くそうではないのが驚き桃の木山椒の木。
上記のように都市破壊シーンは無いのですが、デスギドラのビジュアルは抜群にカッコいいし、モスラとデスギドラのバトルを描いた大迫力の川北特撮が堪能出来るから文句無し。
デスギドラが三つ首から放つ爆裂火炎が森を焼き払い、大地を引き裂き、火薬増し増しの大爆発が画面を彩りました。
デスギドラは、柔らかい印象のモスラに対して、これまでの東宝怪獣とは一味違ったクリーチャー感が足されたギドラ系怪獣になっているのが好ポイントでございました。
冒頭、モスラの産卵シーンが描かれました。幼い頃から、モスラはどうやって卵を産んでいるのかとても気になっていましたが、あんな幻想的な感じだったんだなぁ…
衝撃的でした。産んでいるのは産んでいるわけですが、体の中からポンと出て来るわけではないんだなと驚きました(笑)。
幻想的と云えば、デスギドラとの対決に敗れた親モスラの仇を討つため、幼虫が屋久杉の根元に繭を張り自然のパワーを貰って新モスラとなる場面が秀逸でした。なんと美しい。
はじめは敵にこれでもかと云うほどコテンパンにやっつけられてしまうものの、最終的にはモスラがチート的な新しい能力を得て、強敵を圧倒的戦力差で駆逐すると云う図式は本作で成立していました。最後にモスラが勝つと云う潜在的な安心感があるからこそ、気持ち良く観ていられるのかもしれません。
[余談]
本作のテーマは森林破壊。企業だけでなく、日々を暮らす個人も資源を無駄に消費していくことで環境破壊の一旦を担っているのだと突きつける、なかなかに社会派作風。
メディアのエゴも添えて。
[以降の鑑賞記録]
2020/11/05:Netflix
2023/10/22:Blu-ray
※リライト(2020/11/05)
※修正(2023/10/22)