MEMORIESのレビュー・感想・評価
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2回目のレビュー
▼劇場
MOVIX亀有
シアター4
▼作品名
MEMORIES 4Kデジタルリマスター版
▼日時
2025/11/30(日)
19:00~21:00
▼座席番号
D-8
▼チケット
特別料金1600円 1,600円/1枚
で、暫くぶりの映画館は僕のふるさと。
第一話
エイリアン、愛の無いAI、そして宇宙開発に対するアイロニーである。スタニスワフ・レムとアンドレイ・タルコフスキーの惑星ソラリスをリスペクトしている。
第二話
「731」と言う数字が出て来た。化学メーカーのDNAと言わんばかり。城⭕️大学薬学部が協力しているが、毒物劇物取締法はこんな事を許すような事はない。そんな事は一般人でも分かる。つまり、極端にデフォルメされたディストピアって事。また、やはり、チェルノブイリ原発事故に対する警告の様なアニメ。
第三話
正にワンカットで立体的に撮った芸術的なアニメだが、砲弾軌道と言う些かアナクロな話を主題にしている。42度で打ち出すとしているが、今の宇宙開発の基本はまだこの砲弾軌道の理論から発展してない。それで「現在火星へ行く」なんて騒いでいる。「月に行ってしまって」人類は身の程も知らずで
「火星へ行く」なんて馬鹿な事を言い始めた。
しかし、やっている技術はこの「大砲の街」なのである。
僕はこのアニメはブリューゲルのバベルの塔を思い起こす事が出来る事と、日本人が主役を努めて貰いたいと願うプッチーニの「蝶々夫人」と大好きな西村寿行先生の「滅びの宴」だね。
クールジャパン!!
クールジャパンの筆頭としてアニメ産業があるわけやけど、大友さんは間違いなくアニメ界のトップランナー。AKIRAで世界を驚かせ、実写作品を撮ってもヒット連発。以前、テレビに出ていた際成功の秘訣は挑戦し続けることと語っていたのをふと思い出す。
まさにこの作品も「挑戦」が裏テーマだと感じられる。
3章で構成されている本作。1作品目から度肝抜かれた!
NO1.彼女の想いで
宇宙の彼方。救難信号を察知し、救助に向かうものたち。しかしそこはどこか不気味で…
壮大な宇宙、そして建物の荘厳さ、響き渡る音楽なんだか絵画展を一通り観終わった後の充実感。映画ってはまるとほんま中にいるかのようなそんな不思議な感覚になる時があるけど、この作品もまさにそう。ゾッとする中に美しさを感じる作品。千年女優をなんだか彷彿とさせるなと思っていたら…なんと今敏脚本!!
NO.2最臭兵器
この作品が私的には一番好き!製薬会社に勤務する田中信夫。風邪気味の彼は風邪薬と勘違いしてしまい、とある薬を飲んでしまい…
起こっていることはとても悲惨なんやけど、思わず笑ってしまうまさに負のピタゴラスイッチ。信夫くんがなんとも憎めないキャラクターでとても健気。笑 最後のシーンも思わず笑ってしまった。
NO.3大砲の街
突然テイストが変わり画風も前二作品と比較してもだいぶ違いよりアニメチックなテイスト。説明は少なく、どこかの国と戦争しており大砲を毎日打ち対抗しているディストピア。授業では大砲を打つための技術を教わり、父は毎日大砲準備をしている。どこと戦争してるの?という子どもの言葉が印象的。彼女の想いでと最臭兵器があまりにも濃い作品やったので、この作品で中和された感じ。エンドロールに入る前の演出も本当にオシャレで最高!!
三作品ともスタイリッシュでこれぞクールジャパン!そしてエンドロールのスタッフに驚愕。今敏、菅野洋子、マッドハウス、スタジオジブリ…声優さんはもちろん有名な人ばかりやけどここまで揃うとはほんま日本のアニメ界アベンジャーズ勢揃いやなと感動。ここまでエンドロールまじまじみたのも久々。いや〜ほんま最高やった。日本語でこれを理解できる幸せ。また観たい!
30年前の息吹
1995年
まだバブル景気崩壊の影響は
そこまで世間に漂っていなかった頃
(よく誤解されてますが世間的に
景気が本当に後退したのはやはり
消費増税した1998年)
阪神大震災
地下鉄サリンなどの
オウム真理教関連事件
などこれほど混沌とした
事が立て続けに起こった年もなかったが
プレステやサターンなどの
熾烈な次世代ゲーム機戦争の
始まりや
「攻殻機動隊Ghost In The Shell」
など世界的に評価される
日本のクリエイター文化に
火がついた年でもある
その時に生み出されたのが
「AKIRA」以来の映画作品となる
大友克洋総監督の今作
これまでBS等の特別放送の
時にいい加減にしか観たことが
なかったのでリマスター上映
を機にしっかりスクリーンで
観てみるとまあ面白かった
1.彼女の思い出
4℃の森本晃司監督で
脚本や設定は当時まだ
漫画書いてた今敏
氏らしく現実と仮想空間の
境目のあいまいな描写が
この時点で感じ取れる作品
作中のオペラは音楽担当の
菅野よう子(いちいち出てくる名前がヤバい)
がこだわってフィルハーモニーと
本物の歌手で収録したそうで
宇宙に響くシーンは何とも言えない
余韻を残していた
スクリーン音響で観ると
全く印象が変わる
2.最臭兵器
今はフリーで活躍されている
岡村天斎監督の
マッドハウス時代の一作
うっかり国家プロジェクトで
研究させていた臭気を使った
試薬を飲んでしまった田中信男を
巡って国家レベルの大騒動に
なる話
自衛隊とは思えない
止めるには田中信男を殺すしか
ないと意外な決定を下したり
市中に破壊の限りを尽くしたり
自衛隊の在り方も何もない
破天荒な作りがオムニバスで
やり散らかす感じで不思議な
爽快感がある
オチも最高である
3.大砲の街
総指揮の大友克洋がほぼ全部担当
そう主要なセリフもなく
カット割りがなく1枚絵をスライド
させながら見せていく手法は
今のどうやった?と思うところも
世界観の説明20分だけで説得力を
出しちゃうのは見事
後この作品と同じく4℃が制作した
プペルはこれがやりたかっただけ
だろう
こんな毛色の違う3作を一気に堪能できて
OPとEDは石野卓球ですよ
アガらないわけがない
高校生だった1995年の息吹を
思い出す贅沢な時間でした
こんな思春期バリバリの時期に
戻りたくはないけどw
こういう感じのオムニバス企画
またあってもいいと思うけど
今のシネコン形態ではぶつ切りで
やりたがるのかな
クリスマスにブルーレイ売るそうです
買おうかな・・
実験映画・オムニバス
オムニバス
「彼女の想いで」 …★4
宇宙開発時代の21世紀末の、デブリ回収宇宙船のクルーが
オペラ全盛の時代に活躍したスター歌手の「想いで」を
記憶集約した世界に紛れ込む
オペラ歌手は、とっくに亡くなっているのは承知であり
ラストに彼女のミイラを出す必要性無し
主人公の男を、帰還不能と連想させる「宇宙での孤立」で
終わらせるのも、無意味な絶望の美化な感じがある…
映像は、三篇の中で最も美しい
「最臭兵器」 …★4
余りに酷い『臭』を発して、動物を壊滅させる
カプセル・バイオ兵器を飲み込んだ主人公が引き起こす
ドタバタコメディ
…しかしならが、あの「オウム事件」の翌年に公開され
この空前の「バイオ・テロ」を「ブラックユーモアとして笑え!」は
無理がある…
単なるコメディで終わらず、色んな要素を投入する意欲は
感じられるが…
結局、ラストに「『臭』の元の主人公」は、首都東京に来てしまう
オチは、読めてしまう…
「大砲の街」 …★2
大友克洋氏本人が監督とあって期待したが、単に
「西洋の豪華な絵本」を、アニメとして動かしたで終始…
かなり落胆…
…詰まる所、三篇とも「実験映画」なのだが、こういった
劇場用アニメは、もう作られていない事から
総合評価の★は、オマケで…
西村寿行先生の(滅びの宴)
1995年と言うとオウム真理教と阪神淡路大震災の年だ。
この頃は余り良い思い出無いな。Macのクワドラ840avに買い換えた。VM2で大戦略をやる事に飽きたので。いずれにしても、バブル後でやっとWindowsが出たと思って、奴らもやっとMacに追いついたか!などと余裕を見せて、家に引きこもっていた頃だ。
『彼女の想いで』
(思い出は逃げ込む場所じゃない)
彼女の想いで、作られた仮想現実で犠牲になってしまった男達の悲劇。プッチーニのマダム・バタフライの赤い薔薇は彼女の思い出として、死の宇宙を漂う。
想いで、思い出になるって事だ。
『最臭兵器』
西村寿行先生の(滅びの宴)を連想させた。
『大砲の町』
言うまでもなく、アニメを超えた芸術作品。
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