めぐりあい(1968)のレビュー・感想・評価
全2件を表示
55年昔の青春 横浜ドリームランドと団塊世代の人生のシンクロ
1968年の青春
同年3月公開
黒沢年雄は公開当時24歳
役の江藤努は高卒2年目の20歳ほどにみえます
酒井和歌子は19歳
役の今井典子もそれぐらいでしょう
団塊世代そのものです
55年昔
1968年の日本
高度成長期の真っ只中です
冒頭の通勤風景からもその活気が伝わってきます
努の務める自動車工場の巨大さや忙しさもしかりです
調べて見ると、本作公開翌月の4月はこんな具合です
日本最初の超高層ビルの霞ヶ関ビルが完成
西武百貨店渋谷店が開店
日産、トヨタがどんどん新型車を発売
東名高速も部分開通しました
一方この年はこんな事件が起きてもいました
1月、東大闘争が始まる
同月、佐世保への原子力空母エンタープライズ号寄港反対阻止闘争
3月には成田空港問題でデモ隊と機動隊の大規模な衝突
10月には新宿駅が新左翼に扇動され暴徒となった学生達に占拠される暴動事件が起きる
政治とは関係のないところで、このように一般大衆は精一杯生きて、家庭の問題や恋愛で悩み、青春を過ごしていたのです
終盤、典子が勤めている遊園地は横浜ドリームランド
かって横浜の戸塚の丘陵地にありました
当時はディズニーランドは海の向こうの米国にしかない憧れのものです
ドリームランドはそれを模した遊園地で日本の遊園地の中では群を抜いたハイクラスな遊園地でした
開業は1964年、2002年に閉園しました
1947年の団塊世代の最年長なら開園時は17歳の頃、そして閉園は55歳になった時です
この二人はやがて結ばれて子供を産みこの横浜ドリームランドに家族で遊びに何度も来たことでしょう
団塊世代の全盛期をまるごと見守って来た遊園地なのです
遊園地は平和の象徴、繁栄の象徴でもあります
だから監督は、団塊世代の人生の象徴そのものとして、ここをラストシーンのロケ地に選んだのだと思います
さすがに本作公開から34年後に閉園することまでは監督も想像すらしてなかったと思います
それでも公開から55年たった21世紀に団塊世代を代表するような有名人が次々に退場していくニュースが続く中で本作を見ると、横浜ドリームランドと団塊世代の人生のシンクロに恐ろしいほどの感慨があります
人間の人生、世代の移り変わり
そして時代の変革です
そこに単なる青春映画を超えた感慨があるのです
だからこそ日本映画オールタイムベストのリストの一角を占めているのだと思います
美しいカメラの撮影も素晴らしい
何より酒井和歌子の可憐さ
21世紀生まれの若者だって胸が熱くなるはず
酒井和歌子
胸タッチ!さわやかなエッチ・・・てか、やばいでしょ。不良とまではいかないが、ヤンチャな性格の努。「電車止めるぜ!」と言って田村亮の恋人を助けるが、こんなので酔っ払いが退散するんかな。
ダンプカーでドライブして海水浴。努に男を感じてしまった典子は身を引くが、その後、ダンプの荷台を傾け置いてけぼりにしようとしてキスシーン。家に帰ると、典子の母は事故死。努の父は失業。さらに努は弟とケンカして家を飛び出し、自棄酒買春などとハメをはずし、工場でもミスをして左遷。重く暗くなるかと思っていたら、ようやく立ち直り・・・
家族の風景などはかなり演技が上手い。黒沢年男が立ち直る描写をもっとわかりやすくすればgood。酒井和歌子が若いのにグラマラス。海のシーンは良かった。
全2件を表示