名月佐太郎笠
劇場公開日:1955年11月1日
解説
旅の行きずりに角兵衛獅子に姿をやつした大名の御落胤の守護を托された旅鴉の冒険と恋を描く。小説倶楽部所載の陣出達朗の小説を「身代り紋三 地獄屋敷」の共同脚色者の一人松浦健郎が脚色し「美女決闘」のコンビ冬島泰三と河崎喜久三が監督、撮影を担当した。主なる出演者は「お役者小僧 江戸千両幟」の高田浩吉、「幻術影法師」の市川小太夫、「赤城の血祭」の田崎潤、「暴力街(1955)」の津島恵子、「お父さんはお人好し」の堺駿二など。
1955年製作/83分/日本
配給:新東宝
劇場公開日:1955年11月1日
ストーリー
故郷へ急ぐ旅鴉、浅間の佐太郎は妙義山麓の滝壷のあたりで、半裸の娘お紋にモリで狙われ手を焼いていると、風の弥ン八が追いついた。弥ン八は弥太郎が、二足草鞋の般若の権蔵から救ってやった男だ。さて、道中を続けるうち、弥太郎たちは角兵衛獅子の三人ずれに握り飯を貰ったばかりに、飛んだ事件に捲き込まれることになった。角兵衛獅子の陣次郎兵衛は武士で、孫と称している亀吉は武州川越五万石松平家の御落胤亀千代君だった。次郎兵衛と娘お鶴は、亀千代君を江戸の松平家上屋敷へ送り届ける途中なのだが、佐太郎と別れて間もなく、亀千代君を奪おうとする赤間大作一味に襲われて次郎兵衛は重傷を負い、引返してきた佐太郎に後事を托して息絶えた。その様子を木蔭から窺っていたのは、お紋の父雲兵衛と兄新六の一味。舞台が回ってここは宿場、大作が権蔵と網を張り、雲兵衛一党も乗り込んで虎視耽々。一方、旅篭桔梗屋の一室で、佐太郎がお鶴の語る松平家のお家騒動に耳を傾けていると、土間で新六を見つけた捕方が大騒ぎとなった。その隙に亀千代君は雲兵衛にさらわれてしまう。佐太郎とお鶴は雲兵衛の山塞に向うが、弥ン八が一足先に来て雲兵衛をゆすっていたが、結局うまく行かず、弥ン八はお鶴と亀千代君を連れて逃げ出し赤間大作に会ってまた二人を売り込みにかかる。取引の場所は宿外れの阿弥陀寺と決めるが、それを知った佐太郎と雲兵衛達も寺に集り、佐太郎の奪斗によってついに悪人は亡ぼされた。あくれば秋晴れの朝、街道には亀千代君の行列がつづき、見送る佐太郎の背後にお紋が立っていた。