息子(1991)のレビュー・感想・評価
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出来損ないの末っ子と、それを心配する父親
他の方たちのレビューを読んでいたらたどり着いた
自分も過去に見たので思い出しながらのレビュー
家を出て、それぞれ暮らす子供たち
三國連太郎演じる父親は
常識知らずで転職を繰り返す末っ子(永瀬正敏)に呆れてしまう
戦友会への出席で上京した父は
息子たちを訪ねる
出来損ないと思っていた末っ子は
結婚したい人がいると言い、一人の女性を紹介する
というストーリー
同じ、山田監督の「東京家族」と基本の設定は似ている
部屋にはFAXがあり
耳の聞こえない彼女との連絡はこれでとっていたんだな
仕事も正社員となり
手話も覚え
大人になった息子を見て安堵する父親
田舎に帰る三國連太郎が、秋葉原らしき町でFAXを買って帰る
征子と連絡を取るためにだろう
わたしはこういう話は好きなのだが
平成生まれの若い人たちはどう評価するのだろう?
息子の行く末をゆっくりと見つめる
総合:75点 ( ストーリー:60点|キャスト:75点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
解説によると、「田舎に住む父親と都会でフリーアルバイター生活を送る息子との対立と和解」ということだった。かなり険悪な対立があるのか、どのように和解するのかと思っていたが、対立とよぶほどの対立でもないし和解らしい和解もない。ふらふらしている息子を心配している父とようやく就職して働きだした息子が自立したというだけの話。
むしろ物語はよくある家族模様で平凡に進むが、家族関係を細かく描写している点では質感がある。そしてその家族関係を出演者がしっかりと表現しているし、淡々としながらその関係の変化をゆっくりと見せてくれる演出が良かった。
家族の温もり〜父の愛
家族の幸せだけを願い生きてきた父昭男を、三國連太郎さんが魅力的に演じる。実直な父親らしいはにかんだ笑顔がとてもいい。
そんな父と、不器用ながら心優しい息子哲夫(永瀬正敏さん)が交わす気の置けない会話に心が和む。
和久井映見さんが、哲夫の純情な恋人征子を可憐に演じていた。
子に身を案じられる年代になった父親が、子の幸せのみを願う姿が沁みる。
BSテレ東を録画にて鑑賞
とてもよかった
永瀬正敏がうちの今5歳の長男の将来像に見えてしまい、肉体労働に従事してえらい!聾唖のかわいこちゃんと真剣に恋をして結婚なんて、立派すぎる!とまぶしいほどだ。
三國連太郎のおじいちゃんが、千葉のマンションなんて地獄だ。岩手に帰ったら家族がいる幻想を見るラストシーンは、とうとうお迎えが来たと思ったので、そうでなくて安心した。しかし、あのまま逝ってもそれはそれで幸福な最期だ。歩けなくなったり認知症になる前にそうなりたいものだ。
家族をつくるということ
やっぱり、この監督は原作がある方がいい。
自分としての生き方を生きていく。
交わるところと、交わらないところと。
親の力を借りずとも生きていける。それは”一人前”になったということの証でもあり、親孝行のはずなのに。
昔なら、代替わりする頃には、親がボケるか、体を悪くするか、寿命でこういうことで悩むことはなかったのに。
自給自足に近い世界なら、地産消費で、遠くに行くことはなかったのに。
貨幣世界等、価値観が変わってしまった世界。
親の都合と希望。
子の都合と希望。
簡単に交わりそうなのに、交わらない。それが家族。
そんな中でも、未だ行先の定まらないと心配していた子が、パートナーを得て、己の生き方を定める。
それがこんなにうれしい親心。
終盤、哲夫の部屋での眠れぬ夜から岩手の実家に帰ってきた場面。
そのための映画。
もちろん、それまでに、三人の子の家族のいろいろを描いているからこそ、この場面が映える。
父を演じた三國さんのすごさ。田舎の老爺を見事に表現。普段のオーラなんてどこへやら。
そして、永瀬さんが初々しい。方言の発音も一番それらしい。他の役者が方言ぽく話していても聞き取れるのに、永瀬さんのだけは聞き取れない箇所がある(笑)。
和久井さんの初々しさもいい。思わず哲夫が、昭男がOK出してしまうのが、とっても理解できる。
原田さんも難しい役。
とはいえ、征子が美しいから哲夫は「聾唖でもかまわない」になったんだろうという流れには複雑。美しくなかったならどうなんだろう?
昭男にとっては、どうしようもない哲夫をまじめな勤労者にしてくれた福の神であって、容姿とかは関係ないのだろうが。
そして、長男の嫁にしろ、娘にしろ、次男の婚約者にしろ、実権は妻が握っているかもしれなくとも、外面では周りに気を使って、夫を立てているという女性像ばかり。ワンパターン。
だから、きれいに収まるのだ。
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