ミンボーの女のレビュー・感想・評価
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反社マニュアルと言うよりサラリーマン応援歌
マルサの次はミンボーと、改めて伊丹監督の社会派の着眼点とエンタメの痛快さのブレンディングの妙が楽しめる快作です。名門ホテルで反社担当にされたサラリーマン達の悲哀と本音を描きながら、颯爽と現れるミンボー専門弁護士の水際立った対応振りが鮮やかです。伊丹作品らしく、蘊蓄とマニュアル的なストーリーは魅力的だけど、総支配人のあまりにも脇の甘さとヤクザの脅しがステレオタイプなのがちょっと残念。ただ、この作品で描かれる反社対応のスタンスは、現実に対応方針として公表している企業が多いことから、時代をずいぶん先取りしているのも事実。マルサのようにスーパーウーマンの活躍だけかと思ったら、ラストシーンでヘタレの反社担当者が押し寄せるヤクザの群れに一歩も引かない、そして従業員全員が一丸となるのは、サラリーマンの成長物語のように感じられグッときます。そして、一人のヒーローや担当に任せるのではなく、組織として対応する大切さがテーマと思いました。役者では、宮本信子がマルサに続いて、小気味のいい台詞回しで笑わせてくれます。それでも、隠れた主役はヘタレ担当者役の大地康雄でした。まさにサラリーマンの悲哀と矜持を体現する役者振りでした。
コメディテイストの映画ではあるけれども社会派寄りの映画
いつもの伊丹映画のように宮本信子さんが主役ということにはなっているけれど、実質的には、ホテルマンを演じた大地康雄さんと村田雄浩さんの2人が主役級の活躍。
伊東四朗さんと中尾彬さんが暴力団幹部を演じているけれど、流石に上手いです。
警察官や専門家にしか知られていなかった「ミンボー」という言葉を一般化した映画ですね。
1991年5月に成立した「暴力団対策法」が、この映画の公開2ヶ月前に施行されていたので、タイムリーな話題の映画にもなった。
また、伊丹十三さんが暴力団員に襲われて怪我をしたり、映画館のスクリーンが切り裂かれたり、この映画の公開を機に事件が幾つか起きている。
その後も暴力団との緊張関係は尾を引いて、伊丹十三さんの自殺の遠因になったという説もあるようです。
コメディテイストの映画ではあるけれども、社会派寄りの映画でもあって、そうした色々な出来事が起きたことを知って観ていると、能天気に笑ってばかりもいられない気分になる。
伊丹監督、体張ってます‼️
ミンボーとは民事介入暴力。ヤクザ、暴力団が、企業や個人の弱みにつけ込んで脅迫する事‼️今作はあるホテルを舞台にした、ミンボーと女弁護士の戦い‼️ホテルの総支配人が賭博スキャンダルに巻き込まれるといったトラブルを、ホテルマンたちをはじめ、全員で立ち向かい解決する痛快作‼️毎度のことながら、まるでアメリカのエンタメ映画のような題材を、凄まじい取材力で得た数々のウンチクで面白く魅せてくれる伊丹十三監督の手腕はホントに素晴らしい‼️カタルシス的には伊丹映画No.1かも‼️
伊丹式民暴撃退マニュアル('92年版)
東宝創立60周年記念作品。
日本映画専門チャンネルで鑑賞(4Kデジタルリマスター版,録画)。
確かな知識と毅然とした態度で立ち向かえば「ミンボーなんて怖くない!」と謳う伊丹式マニュアルな傑作エンタメ。
綿密な取材に基づいたリアリティーはさすがの一言で、ヤクザの狡猾な手口とドスの効いた威圧に戦慄せざるを得ず。
弁護士・井上まひるの、ヤクザ相手にビビらず一歩も引かないで対峙する姿が颯爽としていて、カッコ良かったです。
大地康雄と村田雄浩のキャラも抜群で、社会派な物語におけるコメディー・リリーフとして機能していて素晴らしい。
まひるに感化され人が変わっていくホテルマンたち。強くなった彼らの凛とした佇まいが光るラストが良かったです。
とてもよかった
普通の臆病な人たちが勇気を出す話で感動的だった。特に何を鍛えたわけでもなく、情報を把握して作戦を遂行していた。しかし、一般の従業員がヤクザの相手を担当させられるなど、今ならパワハラだ。大地康雄は血尿を出していた。宝田明はアホ社長だし、奥さんと娘はとても感じが悪かった。
確かにこんな映画を作られたらヤクザは商売あがったりなので、監督を襲ってしまうのも仕方がない。そんな困難を顧みずにここまでの作品を作った伊丹監督はすごい。
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