「反社マニュアルと言うよりサラリーマン応援歌」ミンボーの女 シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)
反社マニュアルと言うよりサラリーマン応援歌
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マルサの次はミンボーと、改めて伊丹監督の社会派の着眼点とエンタメの痛快さのブレンディングの妙が楽しめる快作です。名門ホテルで反社担当にされたサラリーマン達の悲哀と本音を描きながら、颯爽と現れるミンボー専門弁護士の水際立った対応振りが鮮やかです。伊丹作品らしく、蘊蓄とマニュアル的なストーリーは魅力的だけど、総支配人のあまりにも脇の甘さとヤクザの脅しがステレオタイプなのがちょっと残念。ただ、この作品で描かれる反社対応のスタンスは、現実に対応方針として公表している企業が多いことから、時代をずいぶん先取りしているのも事実。マルサのようにスーパーウーマンの活躍だけかと思ったら、ラストシーンでヘタレの反社担当者が押し寄せるヤクザの群れに一歩も引かない、そして従業員全員が一丸となるのは、サラリーマンの成長物語のように感じられグッときます。そして、一人のヒーローや担当に任せるのではなく、組織として対応する大切さがテーマと思いました。役者では、宮本信子がマルサに続いて、小気味のいい台詞回しで笑わせてくれます。それでも、隠れた主役はヘタレ担当者役の大地康雄でした。まさにサラリーマンの悲哀と矜持を体現する役者振りでした。
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