祭りの準備

劇場公開日:

解説

南国土佐の自然を背景に、一人の少年が複雑な人間関係に圧迫されながらも巣立っていく姿を描く。原作は脚本も執筆している中島丈博の同名小説、監督は「竜馬暗殺」の黒木和雄、撮影は「田園に死す」の鈴木達夫がそれぞれ担当。

1975年製作/117分/日本
原題または英題:Preparations for the Festival
配給:ATG
劇場公開日:1975年11月8日

ストーリー

昭和30年代初め、高知県中村市。沖楯男(20歳)は、この町の信用金庫の外勤係であるが、毎日、東京へ出てシナリオ作家として身を立てることを夢みている。だが、母のときよは女狂いの夫・清馬と別居していて、一人息子の楯男を溺愛するあまり離そうとしない。楯男には心の恋人涼子がいるが、彼女は政治運動に熱を上げており、シナリオを書く楯男にとっては常に片思いの存在であった。楯男の隣の中島一家は、暴れ者の利広と、兄の貞一・美代子夫婦との奇妙な三角関係で成立している。利広が家にいる時は、貞一が刑務所に、貞一が家にいる時は利広が刑務所に、という次第の泥棒一家である。ある日、中島家の末娘タマミが発狂して大阪から帰って来た。若い衆のセックスの対象となるタマミ。楯男は涼子のかなわぬ恋の失意の中でタマミと寝てしまう。数カ月後、タマミが妊娠した。彼女と同棲していた楯男の祖父茂義が子供の父であると名乗り出た。タマミは無事に子供を生んだが、その途端に正気に返った。だがその時からタマミは茂義を激しく嫌悪し、老人は首を吊った。オルグの男に捨てられた涼子が楯男をセックスに誘った。涼子への夢が破れた楯男は、一人、東京へ旅立つことを決心した。駅の待合室で楯男は、殺人容疑で追われている利広に出会った。「バンザイ!バンザイ!」利広一人の歓声に送られて、楯男は故郷を旅立っていった。

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映画レビュー

5.0遠く離れた二つの故郷の類似点に笑えた。

2023年6月14日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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マサシ

3.5悶々

2022年8月27日
iPhoneアプリから投稿

そりゃこんな環境にいてたらそうなるだろう。陰陽の境目なく性が日常に混じる。セクハラが成立しえない世界。あのおばさんが、この爺がと歯止めがかからない。この母と一緒にいたらと恐れ慄くのも当然。
既視感があって、浜村純が覆いかぶさってきた時に確信したのだが、見たならテレビな訳でよくこれを放送できたなと思う。そのシーンもそうだが、主人公の話よりも群像劇として残る。これぞ兄弟と兄嫁を共有する原田芳雄と受け入れる杉本美樹、兄に身体を洗われ街を徘徊する桂木梨江、インテリ風に誘われ盛りがついて夜這いを始める竹下景子、親父を預かる真山知子の髪洗う色香、馬渕晴子に三行半を突きつけられて、親父を引きとるよう頼まれた絵沢萠子の悪くなさ加減。
女優陣の妖艶さが際立つ。竹下景子の清純さと色気の両面性はその後の彼女のイメージにも共通している。

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Kj

3.5映画愛と性に対する真摯さに衒いがなく正直に描かれた日本映画らしい佳作で、脚本がいい。

2022年7月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

日本映画では珍しく楽しい映画。中島丈博の脚本が見事。作者の性に対する真摯さと映画愛に衒いが無く正直な青春映画に仕上がっている。とても好感の持てる日本映画で、日本的なユーモアがあるのがいい。黒木和雄の演出は大胆にして粘着力があるが、これは好みに左右されそう。この演出タッチを主演の江藤潤の無色の個性が良いバランスで中和している。共演の竹下景子の純粋さと色気がまた内容に合っている。脚本、キャスティング、演出の妙。若者の厳しい将来を暗示するラストシーンがいい。主人公の祖父の自殺がエピソードとして作り過ぎとも思うが、作品のテーマからはズレていない。面白かったので再度見学。

  1976年  6月9日,14日  飯田橋佳作座

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Gustav

3.0旅立ちの時

2021年3月5日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

役者陣の区別が付きにくく入りにくかったのだが。
江藤潤は悶々とした演技がよかった。
しかしまあ、たくさんのおっぱい。
そして、人間関係が濃い。
濃すぎるくらいだねえ。
昭和だねえ。

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まこべえ