股旅のレビュー・感想・評価
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渡世人
“渡世人”の説明から始まる。茶を飲んだら最後、その親分のために働かねばならない。飯は二杯食わなければならないという作法。
番亀一家に草鞋を脱いだ3人。源太は偶然、3年前に家族を捨てて家を出た父親と再会する。そして翌朝、父親が番亀に敵対する赤湯一家と通じ、賭場でイカサマをやっていたことを知らされる。義理を重んじ、血のつながった父を斬ってしまったのだ。しかし番亀には父を斬ったという重罪だと家を追い出されてしまう。
痛ぇ痛ぇと何度も聞かされる。武士とは違い、庶民的でもある渡世人のリアルな姿が描かれているのだ。しかも、ちっともかっこよくない。天保15年という現代にも近い年代。『座頭市物語』でも登場した飯岡助五郎の名前も聞かれる。信太は旅の途中で破傷風により死んだと思われるが、最後に飯岡一家に草鞋を脱ごうとしていた源太と黙太郎。ラストは2人が斬り合いになってしまうが、源太が崖から落ちて死んだ模様・・・なんとも呆気ない幕切れとなるところも面白い。
無味乾燥で呆気ない理由
市川崑による日本のニューシネマ
現代ならV6 とかのジャニーズの俳優が演じていたろう
物語や設定は限りなく時代考証を優先して、ナレーションがドキュメンタリーのように解説する
しかし主人公達若者は現代の顔付きで体型もそれだ
髪型も髷を結ってはいるが現代風だ
お汲の井上れい子も現代的だ
江戸時代の社会の閉塞感は現代の社会の閉塞感と違うようで同じだ
そんななかで若者たちは同じ様に生きている
飯盛り女に売られるお汲も、現代の風俗に沈められる女と男の物語と変わりはしない
市川崑監督は本作の前年1972年にテレビ時代劇の画期的な作風で一世風靡した木枯らし紋次郎を初回から3話監督している
その作品でやりたかったこと、やり残したことを、本作で決着させたかったのかもしれない
その作風の延長のようにも感じる
しかし、それで何を訴えようとしたのか?
渡世の義理で殺し合う
当時世間を震撼させた過激派の内ゲバ事件になぞられたのかもしれないぐらいしか読み取れない
だから無味乾燥で呆気ないのだろう
それが狙いなのかもしれない
時代考証しっかりしてる
市川崑監督ATG作品。
冒頭の前口上とドキュメンタリー番組のようなナレーションで大丈夫かな?と思ったがまともな展開が始まって一安心。
崑監督によるオフビート時代劇といったテイスト。主人公は小倉一郎でショーケンはその仲間。ヒョロヒョロした身体で格好良さは全くなく、ジタバタするのが人間だ、と言わんばかり。全編そんな感じでこの時代に生きる意味を問うてくる。
そしてラストに突然来るやるせなさ。なんとも70年代を色濃く感じる映画でした。
「若者の青春の虚しさ」
以前から傑作と聞いていたので観てみたが、ロードムービーは好きだがいわゆる「無頼若者賛歌(たとえ虚しい結末であってもそれは賛歌だ)」系はダメなので、それを知っていたら見なかった。文化人類学だかなんだかしらないがこんな斬りあいを観ても時間のムダだと思った。
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