「どうすればせつこを守れたか、わからない」火垂るの墓(1988) りかさんの映画レビュー(感想・評価)
どうすればせつこを守れたか、わからない
放送されたら観なくてはと義務的に思う自分がいる。
映画も観てTV放送を何度も観てその度にしんどくなる。
何がしんどいのか?
14才の兄清太と4才の妹節子が生きていくのが、
どんなに大変かとまざまざと訴えてくるからか。
食事もだがせめて屋根のある家にとどまって欲しかった。
あの湿気のある洞窟だと
小さな子はどんな病気に罹るかわからない。
清太には考えつかないことだ。
農家のおじさんの言う通りにあの家に戻れば良かったか。
しかし、疫病神とまで言われた。
あの家で居ようとすれば
おばさんに気に入られるような言動に徹さねばならない。
できるか❓
精神的に病んでいかないか❓
自分だと到底無理だと思う。
節子を守る為に泥水飲むように頑張れなかったか?
節子でさえ嫌がっていた。
節子も病みそうに思ってしまう。
家にだけ住めるよう頑張って欲しかったが。
やはり栄養不足となるだろう。
清太の妹思いには感服する。
だいぶと優しい兄ちゃんだ。
あの年頃で母の代わりにも父の代わりにもなろうとする。
節子の年頃ならグズって世話の難しい時もあるだろうに
あるがままに受け止め接している。
一人ならもっと生活しやすかっただろうか?
いや、節子亡き後二人で暮らした洞窟を去る清太の姿を
見ると節子のいない生活が無意味なのだ。
節子が居てくれたから良かったのだ、とわかる。
泥のおはぎを作って、どうぞと言うお行儀の良い節子。
兄を信頼しきって甘えて来ていた可愛い節子。
母の姿に驚き妹に嘘をつく。
いくら戦時中とはいえ今朝笑顔で別れた母と
あのように対面するのは大人でもキツすぎる。
母の遺骨を隠す清太。
必死に隠して来たのに、
節子はおばさんから聞かされていたのがわかり
涙ぐむ清太。
そして冒頭駅のコンコースで亡くなっていく清太。
周りには清太のような子が何人もいる。
清太と節子の霊を表す赤い映像、
二人再会しサクマ式ドロップスの缶を節子に渡す。
節子の骨は僅かしかなかったんだな。
💦昨日勘違いして地上波見逃しNetflix で見つけ再鑑賞できた。
りかさま
コメントありがとうございました。齟齬があるかもしれませんが、私は清太と節子の兄妹の死が「自己責任」とは考えていません。
アニメ映画化に当たって、原作者の野坂昭如氏の願いは「清太を善人として描かないで欲しい」でした。そのため高畑勲監督は、清太が批判されることを恐れていたそうです。
『火垂るの墓』は、短編小説・アニメ映画・TVドラマ・実写映画・漫画・舞台…と、全ては見ていませんが、視点が異なります。
鬼のようなおばさんが正当化されていたり、清太が優等生過ぎたり。但し人物造形の設定が変わっても、物語の結末は変わりません。
「戦争」は、この作品の時代背景だと捉えています。ウクライナやガザの紛争地帯や、日本の被災地に置き換えて考えることもできます。
そこにいる子どもたちは同じ状況下にあり、戦禍や災害での生死は子どもたちに非がある訳ではなく、戦争に対しても何ら責任は無いのに、弱い者から犠牲になっていきます。
前のコメントで上げた3本の映画は、戦争映画の「入口」としては良いのですが、★評価は低いです。
特に『永遠の0』は、TV東京の9時間ドラマは原作に忠実でしたが、映画は山崎貴監督のVFXエンタメで、特攻美化作品になってしまいました。
りかさんのレビュー何作かと、コメント欄を拝見しました。コメントには、その人の素や本音が出ると思っています。
レビューは人の数だけ意見があると思うので、出来るだけ目を通すようにしていますが、コメントに関しては、このサイトを楽しむためにあると思うので、返信はお気遣いなく…
りかさま
Netflixの配信が始まったのは7月15日、まだ1ヶ月前です(日本以外の世界190ヶ国では、約1年前から独占配信)。ジブリの旧作は海外でも、内容に関係無くドル箱コンテンツです😶
最近の戦争映画の大ヒットと言えば、『あの花が咲く丘で、また君と出会えたら。』のラノベ、『この世界の片隅に』のほっこり、『永遠の0』のVFX…🙄
『鬼滅の刃』でさえPG12なので、『火垂るの墓』のリアルな描写は、現在のレイティングやポリコレなら、どうなるのだろうと思います🫢
1988年の公開は『となりのトトロ』と2本立てだったので、想像もしなかった映画を観たショックで席から立てなくなってしまった子どもが、私を含めてたくさんいました🥹
レビューに書いてる方が何人もいますが、『火垂るの墓』で兄妹が餓死したのは「清太の自己責任」、そして「一度は観てほしい。二度は観たくない。」😗
ウクライナやガザの子どもたちの戦禍の報道を知りながら、「自己責任」という言葉が出てくるのは、つくづく日本は「平和な島国」だと思い知らされます🥺
「(映画の登場人物が)どうすればよかったのか」ではなく、「(映画を観た私たちが)どうすればいいのか」を考える、戦争映画はそのためにあると思います🤔
でも戦争映画の入口のハードルは低く広く、伝えること、忘れないこと、それでいいと思っています。そう考えて、8月15日にレビューを投稿しました🫡
※長文コメント失礼しました。
おはようございます。
お返事遅くなりました。かなり時間が経ちましたが、コメントどうもありがとうございました。
原作は実体験をもとにしているようですが、主人公が幽霊になっているという変わった作品ですね。
あんなに妹想いなお兄ちゃんなんだから、泥棒までするなら、節子の為に頭を下げて欲しかったとどうしても思ってしまうんですが、気の強さが邪魔をしてしまったように感じました。父親が戻ってくる事を信じていたから、それまでは防空壕で頑張れると思ってしまったのかもしれないですね。
一人で生きていく事も出来そうなのに、もう気力がなくなって力尽きてしまったんでしょうか。