「全国殺し屋選手権大会!」ポストマン・ブルース kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
全国殺し屋選手権大会!
野口に再会したとき、彼は自分で小指を切り落としていた。ヤクザはいいぞ!といったこと以外、たいした会話もなく、沢木は帰宅する。残した郵便物をそのまま持ち帰り、金をおろし忘れたからといって、人の現金書留に手を付けたり、人の手紙を読んだりと、かなり不良の郵便配達員。そして、野口は配達カバンにこっそりブツを忍び込ませ、警察は沢木を運び屋としてマークしていたのだった。
病院では末期がんの小夜子と出会い文通を始め、殺し屋ジョー(大杉)とも出会い交流を深める。このジョー、全国殺し屋選手権大会に出場したが、癌に冒されていて、そのため結果が来るのが心配であった。大会に参加していたリオンというジャン・レノの物真似風の男に笑った。
組に差し出さないと殺されるという、野口の切り落とした指が郵便カバンの中に入っていて、ジョーへの合格通知書に張り付いていた。気付いた沢木はジョーのため、野口のために奔走する。郵便屋らしいことを何もしてこなかった沢木だったが、この二人には感謝される。そして、小夜子に逢うため病院へ向かうが、警察の勘違いにより彼は連続バラバラ殺人犯として指名手配され、病院の前には狙撃犯も含めた警官隊が待ち構えていた・・・
ブラックコメディというより、警察による不条理の世界を描いた作品。笑えるところは数多くあれど、ラストは決して笑えない。クライマックスでの疾走感はサブ監督特有の持ち味であるが、堀部、大杉と傷ついた者が堤を助けようと自転車をこぎ続けるのは痛々しいほど。それでも警察に追われていることすら全く知らない能天気な堤真一は警官隊に自転車で突っ込んで行くのだ。
33歳にして淡い恋心を持った沢木。ジョーと殺し屋ブリジット・ランとの関係も良かったが、死期が迫っている人間じゃないと、ここまで出来ないんだろうな。まぁ、野口の場合はヤクザの人情や義理といった雰囲気だったが。そっと小夜子が手を差し伸べて歩いていくシーンで終わりになるのだが、彼女はとっくに死んでいたということか・・・虚しいぞ。アイデア一発勝負のプロット。