変幻紫頭巾
劇場公開日:1963年1月27日
解説
寿々喜多呂九平原作を「あべこべ道中」の加藤泰が脚色、「血文字屋敷」の工藤栄一が監督した時代活劇。撮影は「稲妻峠の決斗」の三木滋人。
1963年製作/87分/日本
配給:東映
劇場公開日:1963年1月27日
ストーリー
天明四年春。ある夜、日の出の勢いの老中田沼意次の屋敷に大きな人形箱が贈られてきた。その中には人身御供にされた京の商人の娘お京がいるはずだった。一同、好奇の眼で見守る内に田沼が人形箱の蓋を取った。と意外、出てきたのはお京ならぬ紫頭巾。一同呆然のうちに紫頭巾は田沼の喉に刀をつきつけ、田沼の息子意知に命じて三日以内に老中をやめるという誓言書を書かせ風のように立ち去った。一方、助かったお京は生きる望みもなく身投げをしようとするが、浪人報竜太郎にとめられ彼の友人の浮世絵師狩田秀麿の家に匿まわれた。その翌日、両国橋は大騒ぎ。札差下野屋夫婦が仲良く橋の欄干に晒され紫頭巾の貼紙があったからだ。この様をみた剣客戸賀崎熊太郎は紫頭巾は世直し大明神だと笑う。目明し左平次は竜太郎が怪しいと聞き込み田沼に注進したので、田沼は竜太郎の友人秀麿にたのみ探ろうとするし、また不良浪人の海老沢八平太をニセ紫頭巾にしたてあげた。そのニセ紫頭巾は両替商伊勢屋に押入り使用人をメッタ斬りにした。ニセ紫の所業を知った江戸市民は、田沼の思惑通り紫頭巾を憎み始めた。そんな世相の中で、またまたニセ紫は金座後藤の家で大暴れ。と、そこへ現われたのは本物の紫頭巾。抜き打ちにニセ物を斬り捨てた。その時、紫頭巾の行手を遮ぎったのが戸賀崎熊太郎。が、ニセと本物を混同していた戸賀崎の誤解が解けて快く刀を収めた。その頃、田沼は紫頭巾、亀太郎、秀麿が同一人物と知り、捕手を向けたが、秀麿は馬を奪うと逃れ去った。数日後、江戸城内に突如出現した紫頭巾は、大名のいならぶ前で意知を斬り、田沼を殴り飛ばしたのだ。そして不敵に笑うと、例の誓言書を田沼の袴もろとも小柄で板戸に突き刺して、何処ともなく去って行った。