冬の華のレビュー・感想・評価
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私の“あしなが健さん”は、昔気質の任侠道
監督・降旗康男×脚本・倉本聰×主演・高倉健の1978年の作品。
これまた健さんにぴったりの役柄!
それもその筈。倉本聰が、健さんが演じてきた東映任侠映画の主人公像を膨らませて書いた、健さんの為の役。
刑期を終えたヤクザ・秀次。
彼には気にかかる若い女性が居た。
その女性・洋子は、秀次が刑務所に入る事となった殺した相手の娘だった…。
秀次もその世界じゃ名を知られた存在。
今はもう出世した連中もかつては秀次の舎弟だった。
そんな秀次だが、洋子の為に刑務所で稼いだお金やヴァイオリンを送り、文通をしていた。
勿論洋子は、秀次の素性を知らない。
長くブラジルに出張に行ってるおじと偽っている。
身寄りの無い洋子にとって、秀次=ブラジルのおじさまは唯一の肉親。心の底から慕っている。
いつの日か日本に帰ってきた時、会いたいと願っている。
秀次も出所したら真っ先に会おうと思っていた。電話をかけようともした。
が、そこで踏み留まった。
自分が彼女に会える訳がない。
何故なら本当は自分は、彼女の父親を殺した犯罪者。
会えば彼女の全ての夢をぶち壊す事になる。
陰から見守る素敵なブラジルのおじさまのままでいい…。
ある決心をし、遂に洋子と電話で話した時の「今度会おう」が「さよなら」にしか聞こえなかった。
ある時二人は顔を合わせる事になる。
洋子はすぐ気付く。
が、秀次は…。
メインと思っていた“あしなが健さん”は意外とスパイス的で、話は硬派な東映任侠映画。
久し振りにシャバに戻ると、組も世の中も変わっていた。昔のような任侠道など廃れていた。
足を洗う事を考える。
親父のように慕う会長もその事を察し、理解する。
秀次と会長の実の親子のような絆もいい。
そんな時、関東・関西の組が一触即発状態となり、会長が殺され…。
健さんに最高に惚れ惚れ。
周りも出るわ出るわのかつての東映任侠映画常連の渋い面々ばかり。
そんな中で池上季実子が清涼剤のように若く、美しく、可憐。
音楽が哀切漂う。
チャイコフスキーのクラシックの名曲も激しく感情を揺さぶる。
秀次は再び手を血で染める事になる。
極道の世界で生きる者は極道の道でしか生きられない。
恩義の為、自らのケジメの為。
その時、デジャヴのような事が…。
ラストは余りにも悲運。
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