風雪講道館
劇場公開日:1955年4月1日
解説
富田常雄の原作を「雪の炎」の八住利雄が脚色し、「花ざかり男一代」の森一生が監督、「お嬢さん先生」の中川芳久が撮影する。出演者の主なるものは「幸福を配達する娘」の菅原謙二、「俺も男さ」の鶴田浩二、「火の驀走」の山本富士子と高松英郎、「花ざかり男一代」の矢島ひろ子のほか城川暁子、三田隆など。
1955年製作/96分/日本
原題または英題:The Birth of Judo
劇場公開日:1955年4月1日
ストーリー
若き日の矢野正五郎は、学習院に教鞭をとりつつ、柔道の研究を続けた。唯一の弟子戸田は関屋柔山の道場移転祝いに代理で出席したが、矢野に悪意を持つ泉らのため袋だたきの目に合った。回船問屋島は矢野に道場建設の援助を申出ていたが、孫娘千鶴は戸田に愛情をよせていた。ある日、矢野は泉らの一味に襲われ、やむなく彼等の虚をついて撃退した。これが新聞に悪く書かれ、学習院教師としての責任を問われ、妹須賀子の縁談も相手の清閑寺家から断られた。清閑寺は富豪椿家の娘早苗との政略結婚を進めていた。矢野を慕う早苗は驚いて雨中を彼のもとへ馳けつけたが、そのため胸の病を悪化させ、大磯の別荘で静養した。矢野は箱根山中で天誅党と名乗る邪悪な柔術家井沢周蔵の一行に会い、その中の鬼石佐平に狙われたが、危く難をかわした。その帰途、矢野は大磯に早苗を訪ね、余命いくばくもない彼女から愛の告白をうけた。その留守中、掛札、村井、門馬らの柔術家は矢野に挑戦状をつけた。戸田は足の傷をかくし、千鶴に別れて御台場に向い、再び彼等に痛めつけられた。然し旅から帰った矢野は未だ黙々として戸田と新弟子の津崎、壇を相手に熱心な研究をつづけた。長作の援助で新道場が開かれた日に、戸田は掛札兵助を投げ、矢野は鬼石佐平に堂々の勝利を得た。かくして矢野の唱える正しい柔道の基礎は固ったが、その同じ日に早苗は矢野の勝利を祈りながら息を引きとった。