氷点のレビュー・感想・評価
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“氷点”というより“泥点”と言いたい泥々の愛憎劇だがラストには素直に感動した。筋立てとしては作為的に過ぎる面はあるが、演出・脚色・演技が全て良い方に働いた好例。
①三浦綾子原作ということでキリスト教臭いかなと小説・映画とも敬遠していたが、山本圭出演作繋がりで鑑賞。②大変ドラマチックな物語なので、どの観点から描いてもそれなりに面白いものになると思う。③一組の夫婦が幼い娘が殺されるという悲劇から幕を開けるのだが、その後に始まるこの夫と妻とのドラドロの心理戦が前半の見処。
辻口夏枝
三浦綾子の原作の映画化
〈原罪〉について語られているが 展開が面白く
大ベストセラーになったのが判る
事件の元凶は 普通陽子の養母夏枝(若尾文子)と考えるのだが、彼女はその自己欺瞞のせいか反省もなく全然年も取らずに美しい
娘らしく成長した陽子(大楠道代)に敵愾心も見せる
男性の評価を自己評価の核にしているところが鬱陶しく、夫の疲労と憎悪は理解出来るが 彼の心も捻曲がっている
陽子の秘密の暴露も 自己欺瞞と北原に拒絶された腹いせと嫉妬などが重なった爆発に思えるが、優等生に追い詰められた劣等生に見えたりもする
(ここも陽子の絶望する処であるのか… )
この作品のもう一人の主役は彼女なのだと思わされた
1966年(昭和41)頃の 辻口家の家屋の和洋折衷ぶりや 素朴さが感じられる「雪まつり」の様子にも興味をひかれた
監督の演出は冴え渡っており、さすが山本薩夫監督とうならせるものです
強烈な映画でした
圧倒されました
もちろん原作の持つ力ですが、それを山本薩夫監督は十二分に引き出して映画化しています
配役が大成功しています
父役、船越英二の偽善者ぶり
母役、若尾文子の「女」
兄役、山本圭の精神の線の細さ
恋人役、津川雅彦の誠実さ、真っ直ぐさ
そして何より安田道代の純真さ
見事にはまっています
監督の演出は冴え渡っており、さすが山本薩夫監督とうならせるものです
子役の陽子、大人になった陽子
それぞれ単なる笑顔が観る側のマインドセットしだいで全く異なって見えるのだといシーンを見事に撮影してみせています
エンドロールも味わいの深い終わり方てました
冬の雪に埋まる旭川の街中の光景で終わるのです
この時私達の凍結した心は、ようやく溶けはじめ席から立てるようになるのです
このエンドロールで無ければ誰もしばらく動けないでしょう
原罪とは何か?
陽子が殺人者の子供だからか?
自殺を選択したからか?
そもそも陽子にだけ原罪があるのか?
そうではない、陽子を取り巻く人物それそれに罪がありそれが積み重なってこの結末となったのだ
人は神ではなく完全無欠ではない
その時の考えが正しいのかそうでないのか
先の先まで見通せはしない
だから必ず間違える
知らぬ内に罪を犯す存在だ
私達人間総てがそうなのだ
それが原罪ではないのだろうか?
このような思いがぐるぐるといつまでも渦巻くのです
だからこのエンドロールで無ければならないのです
傑作です!
原作を読んでみたい・・・
養女が娘を殺した殺人犯の娘という奇抜な発想なのである。愛と憎しみが家族内で複雑に交差する緊張感。真実を告げる瞬間にはゾクゾクするのだが、母親の若尾文子の心がそれほど真に迫ってないのが残念だ。むしろ山本圭の無心の愛に心打たれてしまう。
氷点の意味は出生の秘密によって、陽子が父の犯した罪に苦しみ、堪えていくことができなくなった限界点だ。旭川の厳寒の地でその気持ちが映像により伝わってくる。三浦綾子の小説を短い時間で堪能できる映画だ。原作のラストはどうだったのかは知らないが、何となくこんなにハッピーエンドではないような気がする。機会があれば読んでみたいものだ。
ものすごい話の展開
いかにも昔のドラマチックな話の展開でしたが、テーマがなかなか深くよく作られている内容でした。
この映画の色々な部分から時代を感じました。でも、まだ50年前の映画なのかぁと、もっと昔の映画のような気がするのも、自分が歳を取ったからかなぁと思います。
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