ひとりぼっちの二人だが
劇場公開日:1962年11月3日
解説
「太陽と星」の熊井啓と「金門島にかける橋」の江崎実生が共同で脚本を執筆、「零戦黒雲一家」の舛田利雄が監督した青春もの。撮影は「あすの花嫁」の横山実。
1962年製作/97分/日本
配給:日活
劇場公開日:1962年11月3日
ストーリー
観音さまの境内をユキは歩いていた。彼女は好色な清水社長のもとへ行くべきなのを逃げて来たのだ。間もなく、彼女を追って来た柳橋一家の男達に見つかったが、吉野のチンピラ、三郎達に救われた。が、仲間の十二階、ちょうちん、ぽっぽといった連中は彼女をこっそり“イタダいた”うえ売りとばすつもりだった。数時間後、三郎達は柳橋一家に追われストリップ劇場へ逃げ込んだ。と、そこで小学校同級生の九太とバッタリ会った。訳を聞いた彼は協力を約束した。が、九太がユキにやさしくするので、三郎は嫉妬し学生達に喧嘩を売った。そんな彼に加勢したのはボクシング練習帰りの英二だった。その英二は柳橋で芸者屋をしているきくを訪れた。以前英二はこの家で娘トモコと働いていたが、きくの仕打ちを怒り飛び出したのだ。英二はきくからユキの一件を聞くと怒って去った。翌日、九太はユキを自分の鳩小屋の中へかくした。そして三郎も改心しユキを守ろうと九太と誓った。英二の新人王決定戦が迫った。が、英二は武田から右腕に傷を負わされた。試合が始まった。英二は傷の痛みのためともすれば劣勢に立った。リングの一角には英二の相手に賭けた武田、内海らがいた。駈けつけた九太、三郎、ユキ、トモコらも声援を送った。ついに英二はK・Oで新人王を勝ちとった。が、彼にはもう一つの勝負が残っていた。ジムの裏には武田、内海、十二階達が彼を待っていた。その背後に三郎とユキがつかまっていた。チンピラ達は英二に向ったが誰も勝てなかった。その時、佐藤刑事がき、武田、内海らは逮捕された。きくも涙ながらに前非を悔いた。ユキの囲りに三郎、英二、九太、トモコが駈けよりしっかり手を握り合った。夜空に九太の歌が流れていった。“あなたの胸の中でひとりぼっちの私、ひとりぼっちの僕、ひとりぼっちの二人……”