人妻集団暴行致死事件

劇場公開日:

解説

どんな世界にも落ち着けず、転職を重ねるハミダシ者達の無軌道な青春を描く。脚本は「夜這い海女」の佐治乾、監督は「女教師」の田中登、撮影は「さすらいの恋人 眩暈(めまい)」の森勝がそれぞれ担当。

1978年製作/96分/日本
配給:にっかつ
劇場公開日:1978年7月8日

ストーリー

有田善作・二十歳・池本礼次・十八歳、歌川昭三・二十歳・の三人は一つの職場に落ち着けず転職を重ねるハミダシ者であった。青春のハケ口を見つけられない彼ら三人の関心は女の肉体とセックスでしかなかった。久し振りに再会した三人は泥酔するほど飲み、金がなくなると、卵を盗んでスーパーに売り払おうとした。翌朝、三人は逮捕されるが、親達が卵の持ち主、江口泰造に賠償金を払い、彼らを釈放させる。昔、テキ屋をしていた泰造は三人の無軌道ぶりに昔の自分を思い浮かべる。やがて、泰造と三人は年の差を越えた仲間意識で結ばれ毎晩のように飲み歩くようになった。泰造の家で酒盛をしているとき、三人は技美子に会った。技美子は後妻で、いかがわしい料理屋の女中をしていたとき泰造に見染められたのだった。技美子は知的障害気味だが、地獄の底から引抜いてくれた泰造に献身的に尽くす。心臓の弱い技美子に夜の営みはきつい、だが、苦痛にゆがむその顔を泰造は歓びの表情と思っていた。泰造と若者が飲み歩いたある晩泰造を家まで送った三人は満たされぬ欲情で苛立った。泰造が寝込むのを確めた三人は、技美子に襲いかかる。泣きながら泰造に助けを求める技美子を三人は何度も犯す。と、そのとき、全身を痙攣させて、絶叫とともに技美子の心臓は止まった。三人は逮捕されたが執行猶予の判決が下る。泰造は技美子の死因が心臓麻痺と知り愕然となった。半年後、泰造は技美子の写真を手に、変り果てた姿で死んでいた。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

詳細情報を表示

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画レビュー

4.0よかった!

2023年11月29日
Androidアプリから投稿

室田日出男は勿論、若い三人もとても良かった。
人物描写もセットも演出も良かった。
ラストシーンの骨壺を抱える祖母の顔のアップ、泰造の視点で電車から祖母の後ろ姿を映したショットが美しかった。

ただ、死体を洗う時と警察署での供述の場面で、エッチシーンで良く流れるようなチープな感じのBGMが使われていて(泰造の解離した心情を現していると察するが)、そこだけが残念だった。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
抹茶

3.0それほど深刻なタッチで描かれていないので,うっかりすると気持ちよい...

2022年3月15日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

それほど深刻なタッチで描かれていないので,うっかりすると気持ちよい感じで終わってしまうけれど,やはりその奥には気持ち悪さがある.百姓や染物の家庭に生まれて家族に愛されたり見放されたりしている青年たち.団地や工場の誘致を行うビジネスマンや新しく住み始めた人々との関係が,仕事や女性関係,居酒屋での生活を緩やかに息苦しくしていく.生活の目標も性的な楽しみも先細りしていく中で,運悪く起こる出来事.事件は起こってしまった以上,あとから感情を込める必要はないのだ.ただ胸糞悪いのは,事件で死ぬことによって遺体は解剖され,火葬の手続きもお役所仕事の中で月並みな正義感の刑事の命令を飲まないといけないことだ.おやっさんがすぐに通報せずに死体とともに風呂に入ったことも,その後の経過を見る限りではわかってしまう.環境のことを摘発することもなく,ツイてなかったということ以外にいうことができない人たちの悲しみを少し思ってしまう.

コメントする (0件)
共感した! 0件)
ケ

3.5けっこうよかった

2021年2月5日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 0件)
吉泉知彦

5.0抑制と省略が行き届いた、ハードな成瀬的作品

2009年6月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

日活ロマン・ポルノ時代の名作の一本なのだが、題名が題名だけにあまり評価されてはいない。しかし、私の中では日本映画の歴史でも、これは名作の一本だ。

名作の理由のひとつは、まったく説明的なセリフがない、状況と仕草だけのきれいに省略された、佐治乾の見事な脚本だ。無鉄砲で甘ったれた若者たちと美しい妻をもつ河舟の主人の関係性を、特に説明をすることなく、物語の流れの中だけで観客に理解させてみせるのは、本当の脚本のあり方として高く評価されていいと思う。この作品の脚本は、「日本シナリオ大系」にも掲載されているので、脚本家を志す人にはぜひ一読をすすめたい。

その脚本を生かした田中登の演出も、ポルノ映画なのにハードなものもなく、淡々としたもので好印象をうける。それでも当時の一般映画よりかは少しハード(今の映画のレベルから観ると一般映画となんら変わりはない)だから、抑制された作品が多い成瀬巳喜男に匹敵する演出力を見せていると言っても、私は過言ではないと思っている。

河舟の主人が室田日出男、無鉄砲な若者のひとりに古尾谷雅人と、名優がそろい踏みなのだが、その二人とも鬼籍の人となった。その意味でも、この作品は貴重だと思う。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
こもねこ

他のユーザーは「人妻集団暴行致死事件」以外にこんな作品をCheck-inしています。