「戦後の風俗史」美女と液体人間 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
戦後の風俗史
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「肉の蝋人形」とか「原子人間」とか昔のホラー映画は怖かった、そのトラウマもあり長じてもホラーが苦手になってしまった、本作もその一つである。撃たれる、切られるより溶かされるのは痛みの想像ができないだけに怖いし、下水は至る所にあり、身近なだけに怖さが倍加したのだろう。
観なおしてみると液体と言うよりゼリーかスライム状のアメーバ―、滲み寄って来るだけだから走って逃げられそう、今なら全然怖くないし、長じた分、疑うことも覚えたので博士が権威付けをしても鵜呑みにはしないのです。
アメーバ―なら怪獣ものより安上がりなので企画が通し易かったのだろうがゴジラ同様怪物を皆放射能のせいにするのも芸が無い。
日活のギャング映画もそうだったが当時の大人の社交場が進駐軍のお下がりのようなアメリカ文化の似非コピーに思えて悲しくなる。
白川さんは今観てもグローバルに通じる美人であることは疑いない、意味もなくスリップ姿にさせられて気の毒だが子供のお供についてきたお父さん連中の目の肥やしだったのだろう、必然性のないお色気サービスも興行主の魂胆か、戦後の日本の風俗史を見せられているようでもある。怪物より大川が炎で染まる光景は関東大震災や東京大空襲の悪夢にも見えて恐ろしい。
時代背景を考えると貶していけないのだろうが今観ればまごうことなきB級SFホラーなのだろう。
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