「縞柄と格子柄、差し色に赤」彼岸花 talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
縞柄と格子柄、差し色に赤
ザ・小津安二郎!ローアングル、懲りまくってる小道具に着物。着物も浴衣も湯呑みもなんでも縞柄か格子柄。色は藍、グレー、枯葉色など。そしてほぼ必ず差し色として赤が映像に入り込んでいる。畳の上のやかん、着物裏地、帯、座布団、ラジオ、ハタキ、洗濯物、湯飲み、テーブルクロス、お猪口など。
洋装の女性は皆ショートカットで可愛いドレス、シーム入りのストッキングに黒パンプスはヒール6センチ以上!
この映画でなんといってもピカイチなのは田中絹代でした。勿論いいポジションですが、彼女の演技と台詞と表情と話し方が追従を許さずに抜群でした。女の強さを具現してました。負け戦の詩吟に感動し校歌を友と一緒に歌うような男が、ラジオから流れる娘道成寺にウキウキする女にかなうわけありません。
浪花千栄子と山本富士子の母娘のやりとりは京都のことばが耳に心地よく華やかでお花のようでした。おかあちゃんが、人のうちの逆さ箒に気がついて戻すところは笑えました😊
とても気になって面白かった点が二つ。一つ目は誰の台詞であれ「ちょいと」が頻繁に入ること。東京ことばの特徴?二つ目は立ち姿の前でも後ろ姿でも右肩あるいは左肩が下がっているところ。特に洋装の男性にそれが目立ちました。
小津安二郎の映画だから「(娘を)かたづける」がテーマであるのは予想できたけど、なんかムカムカしてしまった。小津では「浮草」が一番好きです。
おまけ
佐田啓二登場の場面、一瞬、中井貴一?と思ってしまった。よく見れば目は明らかに姉の中井貴惠だけれど全体の雰囲気や空気感が中井貴一だった。
凄い!ヒアリング素晴らしいですね。娘道成寺には確かにかないませんね。
あの20㌢ウーハーのラジオ高いでしょうね。65年前の製品ですが、多分、米国製でしょうね。我が亡父も持ってましたよ。音楽が好きだったんで。浪花節とかも聞いてました。
共感します。因みに我が家は貧乏人でした。長くなりました。すみません。