女舞のレビュー・感想・評価
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日本映画伝統の芸道物
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日本映画伝統の芸道映画の秀作。監督は大庭秀雄。
孤高の天才能楽氏にして、稀代の女たらしが佐田啓二。
芸道を極める為に天才の芸を盗もうとするも、逆に骨抜きにされてしまうのが、美人舞踏家元の岡田茉莉子。
彼女のお弟子さんに岩下志麻。
岡田茉莉子を支援するのが宮口精二。彼は岡田の結婚相手に仲谷昇を推薦するが、彼女は佐田啓二に狂ってしまっている。それを知る仲谷は、お弟子の岩下志麻と仲良くなる。
作品中に登場する能の舞が《葵上》
不勉強の為に、女の恋の情念を表していると言うこの舞いを知った上で鑑賞すれば、より面白く観れるのでしょうが…。
それでも、どんどんと佐田に入れ込んで行ってしまい、恋に狂い始める岡田茉莉子がとても良い。佐田啓二の女たらしっぷりも堂に入っている。女に対するその冷たさで、恋の主導権をサクッと握ってしまう辺りは、さもありなんと言ったところ。まだまだ息子の中井貴一には、これほどの艶っぽさが出せていないのは残念だ。
後半になると宮口精二が、支援者らしく2人を見守る渋い演技を披露。以前より口では佐田を罵りながらも、その実力を認めていただけに、2人にとってのよき理解者となる。
恋に狂う美人舞踏家とツンデレ天才能楽氏の話は、最後の舞台に際し一気に、それまで映画の中ではきっちりと描かなかった仲谷と岩下の不倫関係。佐田の元関係が有った五条家との関わり。金沢へ引っ込んだ際の愛人らしき女等々。それら多くの不安要素を、一気にそして半ば強引且つ単純にご都合主義で終わらせてみせる。大庭秀雄監督の職人技が冴えていた。
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