パラサイト・イヴのレビュー・感想・評価
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リアリティとか説得力とか足りない
人間の細胞内に存在するミトコンドリアが意思を持ち人類への攻撃を始める…
最初の自立型ミトコンドリア・イブの誕生過程が、死亡した宿主の肝細胞を培養したら自由行動できるようになりましたとか納得できない。
一滴の体細胞で他人の身体を支配したり他人に移植した腎臓から子宮を改造したりできるのなら脳死の時点で宿主の体を奪うとかできなかったのか?
他人のミトコンドリアを操り熱暴走で身体を炎上させているが脳細胞を焼き切る方が速いと思う。
そもそもイブが覚醒した時点で世界中のミトコンドリアが追従するわけではなく視界内しか操れないような描写なのでイマイチ危機感が感じられない。
原作小説を含め当時はかなり話題になっていたが、こんなヘッポコSFとは思ってなかった。
あと赤い手術着は嘘くさい。
もっと弾けてよかったのに。
原作既読。劇場公開時鑑賞何というか色々遠慮しいしい作ってある感じが拭えない。原作の面白さには到底及ばなかった。
「あ、瀬名さんだ」「オーここはあそこではないか」(当時あるロケ地の近くに住んでた)とかまあ要するに映画とは直接関係のないところばかり気になっちゃう。
赤い手術着ってあるんですか?
「細胞の中にはDNAを含んだ核や遺伝子を持ったミトコンドリアがある。ミトコンドリアは母親からしか伝わらない」などといった永島利明(三上)の講演。これだけでも興味深いのに、彼の妻・聖美(葉月)の幸せそうな映像。腎臓病で苦しむ12歳の少女・麻理子(大村彩子)の病室。子供たちにカタツムリの話をする浅倉佐知子(中嶋朋子)。と描写は進む。そして交通事故。脳死となった聖美だったが、腎バンクに登録していたため、移植コーディネーターの小田切(萬田久子)によって麻理子のHLAと型が一致し、移植手術が行われることになった。ひとつ条件として、永島は聖美の肝臓を取り出してほしいと吉住医師(別所哲也)に申し出たのだった。
妻を愛するあまり肝臓の細胞を培養する生物学者。その実験材料でもあるEVE細胞が浅倉に取りついて、学会で人間を滅ぼすとか何とか言わしめる。10億年も前から人間に寄生し、人間をコントロールする機会を伺っていたのだ。葉月里緒奈像は上半身裸(とは言え、レオタードみたいなのを着てる。この映画の1年後にヌード写真を発表)、直立不動で病院の廊下を駆け回る。
ホログラム的なリオナはミトコンドリアの覇権を主張し、腎臓移植された麻理子の子宮に永島の精子とともにEVEを埋め込んだのだ(よくわからんが)。クリスマスイブに生まれたから聖美と名づけられ、永島と出会ったのもクリスマスイブ。イブの語呂合わせで物語を面白くさせようとしているのだが、どうせなら風邪をひいた時もイブを飲んでたことにしろ!
公開当時はVFXがどうたらこうたらでかなり宣伝されていた作品。ともかく97年製作の割りには映像がしょぼい(特に人が燃えるシーン)。喩えるなら70年代の大林監督初期作品みたいな映像なのだ。しかし製作協力にROBOT。また、TVドラマ出身の落合監督はなぜか遠近法が好みのご様子で、病院の廊下を中心にしつこいほど登場する。
とは言え、ミトコンドリアの話は面白かったし、中嶋朋子の演説はちょっと笑えるし、思わず「みとこんどりゃー!」と叫びたくなってしまう作品でした。最後はよくわからん。愛がミトコンドリアに勝ったってことでOKかな?
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