八甲田山のレビュー・感想・評価
全54件中、21~40件目を表示
観ていてフラッシュバックしてトラウマが疼きました
暖かくして、熱いほうじ茶も用意して観るべきです
白い地獄
文字通り白一面のホワイトアウト
それが延々と続くばかりになるのは確定してますから、それでは映画になりません
それをどう映画にできるのか?
そこが腕の見せ所ということになります
起承転結の転だけを白い地獄のクライマックスとして、この遭難に至る過程とドラマ性を際立てた脚本の優れた構成
徳島、神田両大尉のそれぞれ対照的な人物設定と交流、山田大隊長の造形
両隊の運命を分けた大きな要素の一つである案内人を際立たせるために若い女性を登場させ、しかも退場場面に見せ場を用意してあるのは舌を巻きます
日本映画史上に残る屈指の名シーンです
涙腺が緩み大いに泣かされました
効果的に青森の美しい春や夏の情景を、幼い頃の記憶として繰り返し挿入する演出
前振りの台詞のシーンまで用意されています
過酷な吹雪の中の山中ロケ故でしょうが、光量不足で薄暗くて何が写っているのかすら良く見えない山中シーンや誰の顔かも定かでない撮影もありますが、それ自体が却って迫力とリアリティを増幅させています
もしリメイクをしたとして、最新技術でクッキリハッキリ明るく撮影できたとしてもそれが本作以上の迫力とリアリティを生むでしょうか?
その中で名優陣の恐ろしく熱の入った名演が薄暗い画面を突き抜けて迫ってくるのです
高倉健はもちろんのこと、三國連太郎の説得力は強烈です
神田大尉の従卒を務める長谷部一等卒の役の若い俳優の配役の成功も悲劇性を増幅させ心に残りました
何もかもお見事としか言いようがありません
観ていてフラッシュバックしてトラウマが疼きました
思い出したくない悪夢を思い出します
そんな人も多いのではないでしょうか?
雪山登山のことではありません
会社や役所や大きな組織に属した人なら、神田隊と似たような経験をした人もいるのではないでしょうか?
日本の組織が陥る駄目パターンの全てが詰まっています
土台無理な無謀なプロジェクトに投入される、あたら優秀な人材や若手達
本作に出てくるような連隊長や山田大隊長や神田中隊長に率いられて、磨り潰されて精神や身体に異常をきたして脱落していった人達の顔、顔、顔
それが思い出されます
八甲田山は冬の青森にのみあるわけでは有りません
あなたの属する組織で明日始まるかも知れないのです
ブラック企業なら八甲田山は毎日のことです
神田大尉になるか、徳島大尉になるか
それは私達の勇気次第です
若い人なら自分が神田隊に配属されていたと知ったならどう行動すべきでしょうか?
ラストシーンで現代のロープウェイから八甲田山を見下ろす老人は、緒形拳が演じる第五連隊の生き残り村山伍長の老人となった姿です
彼はこのままでは俺も死ぬと、「俺は自分の思い通りに歩く」と言い単独行動して最後の生存者となって生還できたのです
それでも凍傷で失ったのか左腕がありません
命あってのもの種です
あなたが神田隊にいると思ったなら、意見具申も重ね、本当に駄目だ、これ以上は無理と感じたなら、単独行動していいのです
いや、すべきです
あなたの代わりは会社にはいますが、自分と自分の家族に取って自分の代わりはいないのです
会社を辞めてもいいし、会社を辞めなくても、適当にこなして体と心を温存することも、単独行動です
エピローグで字幕ででる黒溝台の戦いは日露戦争の天王山といえる奉天大会戦の前哨戦と言えるものでこの戦いでの勝利は大きな意味がありました
正に極寒の1月下旬のことです
彼らの八甲田山の経験が貢献したのは間違いないことかも知れません
しかし日本は神田隊のそのままの態勢で第二次大戦に突入して、ニューギニア、フィリピン、インパールどころか日本全体が冬の八甲田山に踏み込んでしまったのです
組織の幹部にもなろうかという人は必ず観るべき映画です
むしろ管理職昇格研修に組み入れ、何処に問題があったのか列挙させるレポートを全員に書かせて競わせ、グループ討議させるべきぐらいです
こんな大それたロケ、今じゃできない
加藤嘉が雪中行軍隊に対して「こんな山の神の日に…バカタレが」みたいなことを言っていたこと、案内人秋吉久美子の「まんまくうびゃー」が印象に残る。
日露開戦前の雪の進軍を体現する映画。こんなのを日本は将来撮れるのだろうか。製作委員会でちまちま創ってる今では考えられない。
寒い
旧帝国陸軍、集団の恐ろしさに気分が落ち込みました。星は低いですが価値あるものだと思います。
鑑賞後ググッてみると、もっと悲惨な状況が分かったので、心底凍えました・・・。
秋吉久美子がかわいすぎて、そこだけは救われた。
なぜ、人は偉くなると冷静な判断ができなくなるのでしょう…
いかに極限状態であろうとも、規律の厳しい軍隊においては上官の指示命令は絶対なのだろう。
いや、現代のサラリーマンの世界でも、結局は自分を査定して給与を決める権限のある上司には逆らえない…そんな体質が日本には残っている。(私が知る限り)
「ベンチがアホやから、野球がでけへん!」啖呵切って飛び出せたらどんなにか……(愚痴ってしまった!)
この物語は史実に基づいている。
但し、浅田次郎の原作はノンフィクションではなく、あくまでも山岳小説。
弘前歩兵第三十一連隊と青森歩兵第五連隊が、参謀長の提案によって同時に双方拠点からの八甲田山踏破を計画することになる設定は、小説のオリジナルらしい。
実際は全く別々に計画されたものだとか。
両隊の中隊長同志を交流させることで、ドラマ性を高めている。
更に、橋本忍の脚色によって、組織のあり方を問う視点か強められた。
高倉健演じる弘前の中隊長 徳島大尉は、計画の説明において、十和田湖を回って迂回する長距離行程となったのは連隊長(丹波哲郎)の責任だとはっきり言う。
そして、失敗があり得る危険な訓練であることを承知させ、計画のイニシアティブを握る。
これは正に、ビジネスマンに求められるプラクティス。
状況を正確に理解し、利害関係人の特徴を把握し、権限者に伝えるべき情報を的確に選別した上で伝えるべき時にピンポイントで伝える。
重要なのは、やらないためではなく、やるための戦略を立てること。
高倉健の朴訥な印象に反して、徳島大尉は策略家でスマートだ。
一方、北大路欣也演じる青森の中隊長 神田大尉は、大隊長 山田少佐(三國連太郎)の面子に拘った浅はかな命令に抗えない。
神田大尉と山田少佐のこの関係性が物語の大きな軸となっている。
そこで、、、
高い地位まで出世するには、それなりの能力があったはず。
なのに、なぜ愚かで独善的な判断をしてしまうのだろうか。
上に行けば行くほど、その判断と決断の責任は重くなる。
その一方で、周りから意見されることが少なくなるからだろうか。
誤った指示命令にはどこまで議論しようとも、最後はポジションパワーがものを言う。
概ねは、議論さえ許されないのだ。
北大路欣也には、能力も人望もありながら、真面目すぎるが故に情勢を慮って自分を犠牲にする中間管理職の悲哀を見た。
厳しい視線で状況を観察しつつも黙して語らない加山雄三演じる大隊本部随行の倉田大尉は、冷静沈着な人物だ。
前半では、彼もまた山田少佐に意見することはできないのだが、とうとう行軍隊が立ち往生し犠牲者を出し始めたところで、指揮権を山田少佐から神田大尉に戻させる。
山田少佐が自らの失策に気付き始めたと見たからだ。
しかし、人は他人の行動に対しては過ちを見つけられるが、自分が最初からその立場だったら過ちを犯さないかというと、そうではない。
加山雄三も、疑いながらも上官に逆らうことなく従ってきたのだ。
そして、重責のあまり冷静さを欠き始めた北大路欣也に示唆を与え、隊を牽引させる。
自分では牽引することはできないからだ。
たが、この行動も遅すぎた。
旅団本部では、現地の情報が不確かなまま錯綜し、訓練中止の連絡も前線に届けられない。
危機管理のズサンさが浮き彫りになる。
実際にこの世界最大級の山岳遭難事故の裏側にどのような人間模様があったのかは知らないが、新田次郎と橋本忍によって作り上げられた物語において、会議室の思い付きに運命をもてあそばれた軍人たちの悲劇に心が痛む。
隊員たちを鼓舞するために、「路が見つかった」「天候が回復している」と士官たちが言う度に、また迷い、また猛吹雪に見舞われる、残酷なまでに容赦なく、天は彼等を見放した…。
当時、雪山でのロケーションはどんなに過酷だったか。
吹雪はどうやって起こしたのだろうか。
雪崩は東宝得意の特撮だろうか。
俳優たちは凍傷の危機にさらされ、実際に軽度の凍傷になった人(高倉健ら)もいたらしいが、それはスタッフも同じだっただろう。
作り手も、相当な覚悟でこの作品に挑んだであろうことは想像できる。
当時の撮影技術・機材では限界があり、映像の荒かった部分がデジタルリマスター版では幾分か補正されている。
撮影監督の木村大作は、後に自らの監督デビュー作「劔岳 点の記」で、明治の測量登山をロケーションで見事に再現した。
監督の森谷司郞は、「日本沈没」で橋本忍脚色作品を手掛けて大ヒットを記録した後の本作であり、連続で興行的な成功を収めた。
黒澤明の助監督時代に身につけた完璧主義が、本作で発揮されている。
当時では、超大作が撮れる数少ない監督だった。
次作「聖職の碑」も東宝・シナノ企画提携作品で、山岳遭難事故の史実に基づいた新田次郎原作小説の映画化であり、木村大作が撮影監督を務めた。
作品的には決して劣っていなかったと記憶するが、二匹目のドジョウはいなかった。
実は、今回「八甲田山」を観直すまで、「聖職の碑」と記憶がゴッチヤになっていたのだけれど…。
北大路欣也の「天は我らを見放した…」
鶴田浩二の「この子達は私の命だ!」どっちもふざけて真似したものだ。
さて最後に、栗原小巻の美しさと、秋吉久美子の可愛さには言及しないではいられない。
案内人秋吉久美子を高倉健以下隊員たちが見送るシーンは、恐縮しながら笑顔で手を振る秋吉久美子が愛くるしく、感銘を受ける。
北大路欣也の亡骸を前に、初対面の高倉健に「八甲田でお逢いするのを楽しみにしていました」と伝える栗原小巻の悲しげで、なお軍人の妻であろうとする健気な美しさに、高倉健の言葉と涙もあって胸を締め付けられる。
リアルにもホドがあるわ!
ある意味伝説の映画ですが、本当に伝説でしたね〜
凄まじい吹雪も、ヒゲや眉にできた氷柱も全部本物って!!
確かにリアルに拘るのは分かるけど、
今となってはこれは役者虐待かも〜(笑)
で、ひたすら悲惨な吹雪シーンだけの映画ではなく、
ところどころ、幼い頃の思い出や夏の景色を妄想したりする
そのシーンが、とても美しい〜
古き良き田舎の素朴な祭りの風景や光溢れる夏の山々
なんだか泣けてきました。
で、月に8回程映画館に通う中途半端な映画好きとしては
リアルに拘るあまり本当の吹雪待ちで5〜6時間
高倉健さんや北大路欣也さんはじめ
全ての役者やスタッフが雪の中で待たされたとか〜
死人が出なかったのが不思議な位のホワイトアウト状態!
劇中、村の古老のセリフに「白い地獄」とありますがまさに!!
映像が怖かったです。
日本型のノーと言えない集団主義のリスクを改めて
強く感じる映画ですね。
未だにこの悪い習慣が変わってないことに
絶望感を感じます。
変えなきゃいけない!!
強く強く思いました。
@もう一度観るなら?
「映画館で観ないとあの吹雪の絶望感は伝わらないかも〜」
デジタルリマスター大正解!木村大作さん、ありがとうございました!
本物の八甲田山で撮影するとかありえないでしょう、、
にわかに信じがたいリアルな雪崩シーンなど
驚愕の映像の連続、、
この迫力はTV画面で見ても半減です。
4Kデジタルリマスターでの初公開ですので、
スクリーンでの鑑賞がオススメです。
夏のねぷた、ねぶた祭り、リンゴ農園、
高山植物が咲き誇る十和田湖周辺等、
青森の風景も素晴らしいです。^_^
木村さんは納得していなかったようですが、
若干の粗さやブレがある事で、逆に
リアルさが増している気がします。
高倉健さん、若い北大路欣也さん、加山雄三さん、
三國連太郎さん、若い大滝秀治さん、緒形拳さん、
加賀まりこさん、若い秋吉久美子さん等々、
スーパーキャストもすごいです。
秋吉さん、めっちゃ可愛いかったですね。
しかし、かなりの脚色はありますが、
遭難時の出来事はほぼ実話って
ほんま山の恐ろしさを感じました。
たった2kmの距離でも死に至る、まさに、白い地獄。
これが現実の世界、WILD WORLD ですね。。
何としても定期的に上映して頂きたい作品で、
デジタルリマスターの技術もさらに進化を感じます。
この作品を取り上げて下さった事に感謝致します。
次回はぜひ、「白い巨塔」もデジタルリマスターして
頂きたいです。
名作は本当にいつまでも引き継いでいかなければ
ならないと強く感じます。感謝。合掌。m(_ _)m
これはもはやホラーである。実話だって言うんだから怖さ倍増。バタバタ...
これはもはやホラーである。実話だって言うんだから怖さ倍増。バタバタと人が倒れていきます。
健さんは無論ですが、本作、北大路欣也が渋い。そして彼の苦悩たるや。とりあえず三國蓮太郎をしばきたくなります(笑)
ところで本作の秋吉久美子、超かわいい😍そして健さんの彼女への態度。唯一の救い。
それ以外は一切の希望なし。北大路欣也の名台詞とともに絶望感に浸りましょう(笑)
CGなどなかったリアルな撮影映像も魅力です。
普通におしっこできる幸せを堪能できます(笑)
わりと雑
たぶん、すごく撮影は苦労したんだろうなあ、というのは画面からわかる。
わかるんだけど、不思議と『寒さ』を感じなかったんだよねぇ。
画面は猛吹雪でほとんど真っ白くらいの、加藤嘉扮する村の長言うところの『白い地獄』なんだけど、やっぱり俳優さんたちが、寒がってるのかどうなのか、表情がいまいち分かんないんだわ。
眉毛まつ毛が凍ってるのはわかるの。画面で。
でも辛そうじゃないんだよね。
バランスが悪いというのかな。猛吹雪猛吹雪猛吹雪!ばっかなの。
極寒の状況下で、人の体がどうなるか、例えばわかんないけど手が凍って動かせないだとか、吹雪で息ができなくて苦しむとか、震えが止まらないだとか細かいディテールが無いなあ、と思って。
そういうの、見たかったな。
それと、北大路欣也の隊が「道が分かりました!」ってなって、高倉健の隊に切り替わって、再び北大路欣也の隊にもどるとなんかまた猛吹雪の中歩いてるー。みたいな繰り返しがおおすぎ。
なんていうのかな、「とにかく過酷なんです!」っていうのをどんどん前に出しただけ、の印象。
天候が回復するかと思ったら「おい!また来るぞ!」「わー、またかよー!」みたいな描写が必要なんじゃないかな。
北大路欣也にも高倉健にも感情移入ができないつくりもソンだわ。
映画自体は、二人の男の心のつながり、みたいな内容になってたけど、どうなのかねぇ。
とにかく二人はやりたくなかったんでしょ?
それを上の命令でしかたなくやった。
途中までは、三國連太郎の強引さに戸惑う描写もあったけど、このへんの上官の理不尽さを作品の軸にして、もっと不満や反抗をテーマに描けば面白かったんじゃないかなー、と思うのでした。
雪中行軍
明治時代の陸軍で実際に起きた雪中行軍演習を知ることが出来るだけでも観る価値のある一本。3時間近い長編作品ですが時間の長さを感じることも無く最後まで見入ります。想像を絶する雪山の恐怖を実際の八甲田山で撮影、生地獄のような過酷さがヒシヒシと伝わってくる。そして自然界における人間の無力さを改めて痛感する。
「天は我々を見放した」この名言誕生の経緯も初めて知った。
(午前十時の映画祭にて鑑賞)
2019-125
山岳映画の極地点。
山岳映画を通り越して、映画作品としての完成度が高すぎです。さすが黒澤組の底力。森谷司郎の骨太がっしりの重厚な演出、橋本忍の極限状態での高潔な人間性を描いた脚本、そして何よりも木村大作の有無を言わせない圧倒的な映像美。役者陣の演技も素晴らしいけど、八甲田山の天国と地獄を切り取って見せた手腕は見事です。この辺りが後年の監督作『剱岳 点の記』につながるんですね。
大自然の猛威に人類は屈服するしかない。
「HDリマスター」Blu-rayで鑑賞。
原作は未読です。
監督・森谷司郎、脚本・橋本忍、音楽・芥川也寸志、撮影・木村大作という素晴らし過ぎる布陣で、実際に起こった遭難事件をベースにした新田次郎の「八甲田山死の彷徨」を元に、高倉健、北大路欣也、三國連太郎などの豪華オールスター・キャストを配し、過酷極まりない八甲田山現地でのロケ撮影を敢行した紛れも無い超大作。
日露戦争直前、帝国陸軍はロシアや中国の極寒地域での戦闘に備えるため、弘前、青森の両連隊に冬の八甲田山での雪中行軍訓練を命じました。両部隊が八甲田山で擦れ違う、ということを大前提にした計画でしたが、それが思わぬ悲劇を生むことになるとは知らずに…。
弘前と青森、ふたつの行軍部隊の動向を交互に描いていき、その対比が遭難する方の悲劇をこれでもかと浮き彫りにしていく構成が秀逸でした。
弘前第三十一連隊(高倉健の部隊)は自然に敬意を抱きながら行軍の準備を進め、実行の際には常に案内人を立てました。多分に脚色されているのだとは思いますが、案内人に対する礼儀も忘れず、敬礼で見送ったり汽車代をあげたり…。徳島大尉(高倉健)は自分たちが無知であることをよく理解していたからこそ、八甲田山を踏破できたのですねぇ…。
一方、青森第五連隊(北大路欣也の部隊)はというと、最終的には上官の浅慮と軽挙妄動のお陰もあり自然を軽視してしまった結果、悲惨な末路を迎えてしまいました。中隊の指揮は神田大尉(北大路欣也)に一任すると言っていたにも関わらず、大隊長・山田少佐(三國連太郎)の口出しに「お前は黙っとれ!」と言いに行きたくなりました…。上司が無能だと、苦労してえらい目に遭うのは部下だという典型例ですなぁ…。
ある者は狂い死に、ある者は静かに力尽きて雪に没し…。さながら白い地獄絵図でした。「天は我々を見放した!」という名ゼリフと共に、大自然の猛威の前には人間なんてちっぽけな存在で、抗うと手酷いしっぺ返しを食らってしまうということを痛切に訴え掛けて来るようでした。
木村大作キャメラマン撮影による冬の八甲田山のシーンは息を呑む大迫力。容赦無い猛吹雪、迫り来る大雪崩、行けども行けども雪、雪、雪…。自然のパワーに圧倒されるのみでありました…。“一面の銀世界”と言えば聞こえは良いですが、それが内包する恐ろしい面に文字通り背筋が凍る想いでした…。
※追記(2019/8/26):「〈4Kリマスターブルーレイ〉」の「4Kデジタルリマスター版(2Kダウンコンバート)」で再鑑賞。
画質が全然違いました。買い直して本当に良かったです。初鑑賞時の「HDリマスター」Blu-rayは「ほんまなんやったんや」という感じであります(笑)
場面場面での俳優たちの表情が明瞭になるなど、見えていなかったところが見えたことで作品が内包していたものがより一層浮かび上がり、理解が深められたような気がしました。
特典映像のドキュメンタリーも合わせて観たことで、古い映画を4K修復することの意義を改めて実感しました。
悲しく辛くなった
北大路欣也さん、高倉健さんなど
錚々たる俳優陣が出演した大作。
作中では発狂する者、雪の中を泳ぐもの、
極限状態の人間の精神に及ぼす影響の恐ろしさを見ることができる。
涙なしには見られない作品。
現代には本作のような重みのある映画が無くなってきているのが残念。
若い人にもぜひ見てほしい作品です。
観直して正解でした
スクリーンで観直しです。
ずいぶん昔に観たままで、それほど印象に残っていませんでしたが、観直して大正解でした。
キャスティングが素晴らしいな、北大路欣也素晴らしいなと楽しんでおりましたが、健さんさらに素晴らしかった。
ご対面シーンのエピソードを知ると余計にグッときますね。
自分が子供のころ、積もった雪に倒れる遊びをよくしていましたが、あれは八甲田山ごっこだったのかもしれません。
そんなことをついつい思い出してしまいました。
天は我々を見放した
史実を基にした新田次郎の小説を映像化した作品。軍首脳部が軽く考えた訓練を、無謀と知りながら実行するしかなかった2人の下士官の苦悩と悲劇のストーリー。当時のオールスターが出演している。北大路欣也の発する「天は我々を見放した。」は心に響く。観終わった後に劇中歌「雪の進軍」が耳に残ったのが記憶に残る。
どうせ生かして還さぬ積もり!!
普段から事件を調べるのが好きで、「エベレスト3D」(2015)も楽しめたので、長いですがあまり退屈せずに観る事が出来ました。真面目な作風で、CGもWikipediaもない時代に気合のみで作ったような貴重な映画です。このクオリティで尼港事件や通化事件も観てみたいです。誰が誰だか分かり辛いのと、行軍中は位置関係が不明なのが辛いです。ガルパンで「雪の進軍」が好きになったので、(中盤から歌っているどころではなくなるのですが)歌が流れてくると泣けました。弟を死なせてしまったと思い許してくれー!!と叫ぶシーンは、特に人間らしい感情が込められていると感じて印象的でした。私の父はアル中で数十年にわたり外に女を作りまくった結果、母が難病で亡くなりましたが反省の言葉一つなく血の通った人間とは思えません。無謀な作戦なので色々な事を考えながら観てしまいますが、実在の兵士たちもなぜこのような事になったのをか考えながらの行軍だったのではないでしょうか。 ブリーフィングをした中林大佐(大滝秀治)は凄惨な結果を聞いても他人事で、終始事務的な態度なのが恐ろしかったです。
全54件中、21~40件目を表示