「自然の猛威と無能な上司」八甲田山 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
自然の猛威と無能な上司
Blu-ray(HDリマスター)で鑑賞。
原作(八甲田山死の彷徨)は未読。
監督・森谷司郎、脚本・橋本忍、音楽・芥川也寸志、撮影・木村大作と云う最高のスタッフと、高倉健や北大路欣也などの豪華キャストを配し、過酷な八甲田山ロケを敢行した大作。
弘前と青森、ふたつの行軍部隊の動向を交互に描き、その対比が遭難した隊の悲劇を浮き彫りにする構成が巧みである。
木村大作による八甲田山のシーンの迫力に息を呑む。容赦無い猛吹雪。迫り来る雪崩。行けども行けども雪、雪、雪。…
自然のパワーに圧倒されるのみだ。一面の銀世界と言えば美しいが、それが内包する恐ろしい面に文字通り背筋が凍った。
弘前第三十一連隊(高倉健の部隊)は自然に敬意を抱きながら行軍の準備を進め、実行の際には常に案内人を立てた。
もしかすると脚色かもしれないのだが、案内人に対する礼儀を常に忘れず、敬礼で見送ったり汽車代をあげたりする。
徳島大尉は自分たちが雪山に関して無知であることをよく理解していたからこそ、八甲田山を踏破出来たのだと思う。
一方、青森第五連隊(北大路欣也の部隊)は、上官の浅慮のせいで自然を軽視した結果悲惨な末路を迎えてしまった。
指揮は神田大尉に一任すると言っていたにも関わらず口出しをする山田少佐に「お前は黙っとれ!」と言いたくなった。
上司が無能だと苦労するのは部下と云う典型だ(現場監督の仕事をしているので、本作を戒めとして職務に臨んでいる)。
ある者は狂い死にし、ある者は静かに力尽きて雪に没す。さながら白い地獄絵図だ。「天は我々を見放した!」と云う名ゼリフが沁みる。大自然の前では人などちっぽけな存在であり、傲慢に対すると手酷いしっぺ返しを食らうことを学んだ。
[追記(2019/08/26)]
この程発売された「4Kリマスターブルーレイ」で再鑑賞した。画質がHDリマスター版と比べて見違えるくらいに良くなっており、買い直して本当に良かったと思った。
場面場面での俳優たちの表情が明瞭になるなど、見えていなかったところが見えたことで本作の内包していたものがよりはっきりと浮かび上がり、理解が深められた気がする。
特典映像のドキュメンタリーを合わせて観たことで、本作のような名作を4Kで修復し後世に遺すことの意義を実感した。
[以降の鑑賞記録]
2019/08/26:Blu-ray(4Kリマスター)
※修正(2025/04/15)
地蔵菩薩🙏さんへ。
お久し振りです!
お仕事お疲れ様です。年末の繁忙期、私もてんやわんやではありますが、お互い頑張って乗り切りましょうね!(^-^)
回想シーン…ジーンと来ないわけにはいかないですよねぇ…。映画ならではというか、「砂の器」のラストシーンの如く、胸に迫って来ました…。
syu32氏🙇お久です💂
本作は「遠すぎた橋」を観た前後に、数々の東宝名画を観た「三ノ宮三劇」で鑑賞。あの界隈の映画館って、国鉄(JR)の音が上映中も、聴こえてました🚃。
…帰宅中から、父が「雪の進軍」?を小声で、ずっ~と歌い(恥)…何せ、7月でしたから😅…冷房の効きすぎにピッタリな内容と、「砂の器」と同等な芥川サウンド🎵
私が今も、目に浮かび潤ませるシーンは、凍死しそうな時に夢見る、幼少期の田舎の風景、夏祭りとか」…何か思い出してるだけで、また観たくなりました…😭
PS:あっとの間に年末で、忙殺の日々到来し、新作全然観れてないまま、予定ギッチリ詰まり😰…休憩中にココのぞいては、皆さんを羨ましく思っては、人のコメントにレビューもどき書いてます🙇すんませんです🙏
masamiさん、こんにちは。
僕はオタクというほどではありませんが、本作は好きですし〈4Kリマスターブルーレイ〉が出るとなれば買わないわけにはいきませんでした(笑) 画質が段違いなことに驚きました。
確かに、どうやったら生き残れるか考えてしまいますよね(笑)
それだけ対策すれば生き残れそうですね! でも僕は体質的に化繊を着ると肌が荒れちゃうので、ヒートテックは着れそうにないですねぇ…(笑) 代わりにカイロ大量持参でしのぎたいと思います(笑)
偶然ですが今日原作を買いました。
まさか?!
実は私、八甲田山オタクです。
原作も長編、短編読んでます。
よくどうやったら生き残れるか想像します。
1 まず厳冬期には雪山に行かない。
2 行く事になったら地元の人に従う。
3 地元の人を案内にたてる。
4 無能な上司には従わない
5 食べ物は体に密着させる
6 そして必ず食べる
7 ゴム長靴は必須
8 つらかったら銃剣は捨てる
9 使い捨てカイロを沢山持って行く
10 下にヒートテック着用
これで生き残りが出来ると、思います。
実は青森、幸畑にある墓地とその横の
資料館にも行きました。
結構馬鹿ですよね。