劇場公開日 1951年10月3日

「「小津安二郎の最高作は?」「もちろん、麦秋!!」」麦秋 活動写真愛好家さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0「小津安二郎の最高作は?」「もちろん、麦秋!!」

2023年5月7日
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泣ける

楽しい

興奮

小津安二郎監督のキャリアを考えた場合、初期のサイレント時代はアメリカ映画を模倣した喜劇をたくさん撮られていて、トーキーに移行してからが世界的にも評価が高い家族、ひいては父と娘、母と娘といったテーマが柱となっているように思います。前者の代表格が「生れてはみたけれど」、後者の代表格が「晩春」「東京物語」であり、特に「東京物語」は世界の映画監督が選ぶ史上最高の映画ベストテンで1位になるなどゆるぎない評価を得ていると思います。しかし私が個人的に考える小津安二郎監督の代表作、そして1番好きな小津安二郎監督作品はこの「麦秋」です。内容としては婚期を逃しかけている娘の結婚に揺れる家族のお話なんですが、全体的に初期を彷彿させるようなユーモラスな味つけがされており、微笑ましく観る事が出来ます。特に笠智衆さんの2人の子供たちや、原節子さんや杉村春子さんの演技にもその傾向が見て取れます。中でも原節子さんが杉村春子さんに選んだ相手が彼女の息子だと告げるシーンは、杉村春子さんの反応のうまさもあって絶妙な名場面だと思います。ただそんなコミカルさだけではなく、ラストに用意された原節子さんの涙は、青春に終わりを告げるようで切なくなります。まさしく小津安二郎監督の名人芸の集大成だなぁ。

活動写真愛好家
KENZO一級建築士事務所さんのコメント
2023年8月6日

 活動写真愛好家さんへ
「祇園の姉妹」へのコメントと貴重な情報をありがとうございました。
そうですか、小津監督はそんな事を言っていたのですか。
成瀬巳喜男の「浮雲」は、近々改めて鑑賞する予定でしたので、ますます楽しみになってきました。

KENZO一級建築士事務所