「現実と幻想、虚構が混じり合う」PERFECT BLUE パーフェクトブルー 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 現実と幻想、虚構が混じり合う

2025年11月25日
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鑑賞方法:映画館

今敏監督の作品を観るのは本作が初めて。前回のリバイバル上映を見逃していたので、今回の1週間限りの限定上映を楽しみにしていた。
今から見るといかにも低予算なつくりで、キャラクターデザインや声優も安っぽい感じがするが、画面から溢れ出る下世話なパワーと、場面転換の鮮やかさに惹きつけられる。ミステリーとしても、犯人像が二転、三転して飽きさせない。
題材的には実写向きに思えるが、実写にしたらあまりに生々し過ぎるし、同じカットを虚実どちらにも使えるというのはアニメならでは。後半に行けば行くほど、主人公の現実と、過去の自分の幻想、さらに撮影中のドラマの虚構が混じり合って、主人公と一緒にのたうち回るような感覚をもたらす。
ダーレン・アロノフスキーが本作を偏愛しているそうだが、確かに「ブラックスワン」のモチーフの一つにはなっているのだろう。
今敏監督はこの後、現実と虚構というテーマを深化させた作品を創っていき、道半ばで倒れてしまったが、今更ながらその道をこれから辿ってみたい。

山の手ロック
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