「私は本当に」PERFECT BLUE パーフェクトブルー 紅の猫さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 私は本当に

2025年11月24日
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鑑賞方法:映画館

アニメ初のサイコスリラーと言われる今敏監督の劇場デビュー作品。
アイドルから女優に転身した霧越未麻。アイドル時代とは違う役割を求められながらも仕事をこなしていく。しかしインターネットに起ち上げられた自身のファンサイトにはそんな自分を見透かしたような日記が投稿され、周囲では事件が起き始める。

これは私が書いたの?
事件は誰が?
あなたは誰なの?
私は正気なの?

ストーリー的にはそこまで珍しいものではないが、アニメーションならではのイマジネーション的なダイナミックさと同じ絵をコピー出来るという反復性が、現実と虚構の混乱にリアリティを与えている。
インターネットの中の自分、アイドルとしての自分、女優としての自分、そして本当の自分?
未麻の混乱はそのまま観客へも移っていく。
客席に座りながら現実と虚構の間で揺さぶられ果たして自分は正気なんだろうかと疑う自分がいた。

20年振り位に観たと思うが、当時はアニメーションでどういう表現が出来るのか。実写でやっても構わないことをアニメーションで表現する意義が強く意識されていた時代だったように思う。
現実と虚構が入り混じる作品スタイルは今敏監督のオリジナリティ。
早逝が惜しまれる監督だった。

紅の猫
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