「執着と狂気」PERFECT BLUE パーフェクトブルー 赤ヒゲさんの映画レビュー(感想・評価)
執着と狂気
こんなアニメ作品があったとは!!かなり衝撃的でした。まずカット割りが絶妙で、一瞬、呆気にとられます。しかも、それが単に奇をてらったものではなく、物語の展開に必要不可欠な技であるところが、観ている気持ちとぴったりフィットします。今敏監督が入れ子構造の作品を作りたかったと語っていましたが、現実とドラマの話と幻想とが縦横無尽に入れ替わるため、観ていて非常に混乱しますが、そのこと自体が主人公・霧越未麻の心理状態を表しており、観客は作品を観ているというより、作品の中にいるかのような感覚になります。今作が描いているアイドルの消費期限(若さへの執着)や熱狂的ファン心理、虚構と実像の乖離などは、今作が公開された1997年よりさらに今日的なテーマになっているようにも感じます。なかなか見応えのある作品でした。
コメントする