野ゆき山ゆき海べゆきのレビュー・感想・評価
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この時代
途中から観て鷲尾いさ子さんのヌードは拝見できませんでしたが、お顔のつくりも勿論ですが、身売りされていく女の子達が一列に並んだ時左端で顔ちっちゃくスラーっと伸びた姿、ほかの子達と別次元のスタイルでした。雑誌の表紙の時から可愛い人だなと思ってました。今闘病中だとか、お元気になられて復帰されるのを期待しています。
今では考えられない事が時代が違えばまかり通るのですね。実の親が実の娘をいろんな男に弄ばれる所に金の代償に売り飛ばす。実親が実子を大事に思わないのは昔にもあって今と違うのは誰からも非難されず逮捕されないこと。
子供はたまったものじゃないけれど、逃げ場所もなく頻繁な事で誰も同情してくれない。
わんぱく達は逃そうとしたけど失敗、この頃二枚目の尾美としのりが駆け落ちを再実行するが‥‥‥、戦争が無かったら、駆け落ちは成功していたのにと思う。
鷲尾いさ子の貴重なヌード
お昌ちゃん(鷲尾)に惚れてしまったのは少年たちをはじめ、尋常小学校の川北先生(竹内力)、青木中尉(佐藤浩市)、いかだ乗りの早見勇太(尾美としのり)たち。そのうち早見が彼女の恋人となっていた。
少年たちは転校生大杉(片桐)と対立しケンカばかりだったが、医者の息子である須藤総太郎(林)の提案で戦争ごっこを始めることになった。このノスタルジックなわんぱく戦争こそが映画のテーマであるのだが、現代のいじめ問題なんて吹っ飛んでしまうかのような内容だ。しかし、本物の戦争が目前に迫っていた。いつまでたっても双眼鏡とロシア語で描かれた辞典のような本を手放さない林泰文の演技は光る。
お昌ちゃんと大杉とは異母姉弟。ギャンブル好きの船乗りである父親(峰岸徹)のためにお昌ちゃんは四国の女郎屋に売られることになり、恋人の早見には召集令状が届いていた。女郎屋の件を知らなかった早見は駆け落ちする予定だったが、潔く戦地に向かうと決心していた。しかし実情を知ると、召集されてから脱走する。そして、子供たちは売られゆく少女たちの掠奪計画を実行するのだ・・・実に痛快な展開ではあるが、女衒の清六(佐藤允)には戻ってくるはずだと達観した雰囲気。不景気の世にあって、娘を売らねばならない事情を知り尽くしているようだ。
最後には青木が早見を射殺。そして、油をかぶっていたお昌ちゃんも焼け死んでしまう。そんな虚しさを残してはいたが、エピローグにて痛快な展開。わんぱく共の小さな反抗だった。
ストーリーもすごくいいのに、どうしてコミカルな演出にこだわるのか・・・特に竹内力なんてのは可哀そうなくらいコミカルな動きばかり。鷲尾にしても、いい表情があるものの、台詞回しでNGをくらいそうなシーンをそのままにしている・・・まぁ、ここが大林らしい素人くささの演出なんだろうけど。
とりあえず、鷲尾いさ子の貴重なヌードは保存版。
まあまあだった
DVDをレンタルしようとしたら店から撤去されていて、DVDは5千円もしてしかも中古だし、ブルーレイなら買おうかと思ったらない。youtubeでカラー版英語字幕付きで見る。鷲尾いさ子が大変な美しさで、尾見としのりもいつもと違って怪しい魅力のイケメンだった。演技や絵作りが大嫌いなウェス・アンダーソンみたいでかっちりしていて、美意識に押し込む感じが苦手。
公開当時見た時はすごく好きだったのだけど、今見るとしんどい。子どもが主人公で自分に近かったし、かっちしりた作りも分かりやすくてよかったのかもしれない。
ぼくらのわんぱく戦争
大林宣彦監督1986年の作品。
カラー版と白黒版の2バージョンがあり、白黒オリジナル版を鑑賞。
戦争の影が忍び寄る瀬戸内の城下町。尋常小学校に通う総太郎ら子供たち。
ある日、転校生が。人一倍体が大きく訳あって2つ年上の栄に、クラスの男子たちはライバル心剥き出し。
毎日毎日、喧嘩して喧嘩して。
栄は姉と暮らしている。
美人で優しいお姉さん、お昌ちゃんに皆メロメロ。
総太郎はお昌ちゃんから、弟と仲良くしてと頼まれる。
子供たち皆で遊べ、喧嘩の決着にもなり、そしてお昌ちゃんも巡れる、“戦争ごっこ”を開始する!
戦争時代であっても、生き生きわんぱくに遊ぶ子供たち。
瀬戸内の風景が子供たちをノスタルジックに包み込む。
正直、子供たちの演技は上手いとは言い難い。素人演技に棒読み。
でも、これは敢えて。子供たちに芝居掛かった演技をさせるのではなく、ナチュラルで素のまま撮りたかったとか。
これは功を奏したと思う。
見てて本当に愉快だし、可愛く感じてくる。
そんな子供たちの“戦争ごっこ”。単なる子供の遊びと思うなかれ。
地の理を活かした作戦。
捕虜交換。捕虜にされたら戦力が無くなる。
やられたらやり返す。
どんどん過剰になっていく…。
大人たちの本物の戦争へチクリ。
この時代の子供たちは子供なりに戦争の本質をしかと見ていた。
しかし、大人の不条理や戦争の犠牲になるのが、いつだって薄幸の美少女。
映画初出演にして初主演、鷲尾いさ子の美少女っぷり!
子供たちと同じく演技力は褒められたもんじゃないが、そのたどたどしさがまたいじらしい。おヌードも披露。
そんな皆の憧れのお昌ちゃんが、大人の事情により遊郭に身売りされる事に。
喧嘩していた総太郎や栄は和解し、お昌ちゃんを取り戻すべく、“掠奪大作戦”を開始する…!
結局、自由も何もかも奪うのは大人。
戦争を勝手に始めたのも大人。
それに翻弄され、苦しめられる子供たち。
しかし、見よ!
そんな中でも、子供たちは逞しく活発に生きる。
ダメな事はダメ、と強引ながらも立ち向かう。
喧嘩ばかりしていたが、“お昌ちゃん掠奪大作戦”を機に協力し合う。
子供たちはあっという間に和解出来る。それに引き換え、大人たちは…。
大人と子供の問題じゃない。それが出来るか否かの問題である。
子供たちには未来とそれを担い、今を変える力がある。
それでもどうしようも出来なかった大人の悪しきと戦争。
クライマックスの悲劇をそれを訴える。
いつも斬新な感性の大林作品だが、本作は1950~60年代の古きよき名画を彷彿。
それでいて、“らしさ”も勿論。
ユニークな演出、画作り。
美少女、青春、反戦…。
ぼくらのわんぱく戦争であり、ぼくらの大林映画であった。
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