劇場公開日 1986年10月4日

「鷲尾いさ子の貴重なヌード」野ゆき山ゆき海べゆき kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0鷲尾いさ子の貴重なヌード

2021年4月29日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 お昌ちゃん(鷲尾)に惚れてしまったのは少年たちをはじめ、尋常小学校の川北先生(竹内力)、青木中尉(佐藤浩市)、いかだ乗りの早見勇太(尾美としのり)たち。そのうち早見が彼女の恋人となっていた。

 少年たちは転校生大杉(片桐)と対立しケンカばかりだったが、医者の息子である須藤総太郎(林)の提案で戦争ごっこを始めることになった。このノスタルジックなわんぱく戦争こそが映画のテーマであるのだが、現代のいじめ問題なんて吹っ飛んでしまうかのような内容だ。しかし、本物の戦争が目前に迫っていた。いつまでたっても双眼鏡とロシア語で描かれた辞典のような本を手放さない林泰文の演技は光る。

 お昌ちゃんと大杉とは異母姉弟。ギャンブル好きの船乗りである父親(峰岸徹)のためにお昌ちゃんは四国の女郎屋に売られることになり、恋人の早見には召集令状が届いていた。女郎屋の件を知らなかった早見は駆け落ちする予定だったが、潔く戦地に向かうと決心していた。しかし実情を知ると、召集されてから脱走する。そして、子供たちは売られゆく少女たちの掠奪計画を実行するのだ・・・実に痛快な展開ではあるが、女衒の清六(佐藤允)には戻ってくるはずだと達観した雰囲気。不景気の世にあって、娘を売らねばならない事情を知り尽くしているようだ。

 最後には青木が早見を射殺。そして、油をかぶっていたお昌ちゃんも焼け死んでしまう。そんな虚しさを残してはいたが、エピローグにて痛快な展開。わんぱく共の小さな反抗だった。

 ストーリーもすごくいいのに、どうしてコミカルな演出にこだわるのか・・・特に竹内力なんてのは可哀そうなくらいコミカルな動きばかり。鷲尾にしても、いい表情があるものの、台詞回しでNGをくらいそうなシーンをそのままにしている・・・まぁ、ここが大林らしい素人くささの演出なんだろうけど。

 とりあえず、鷲尾いさ子の貴重なヌードは保存版。

kossy