「昭和の時代に切腹自殺?」日本のいちばん長い日(1967) barbieさんの映画レビュー(感想・評価)
昭和の時代に切腹自殺?
この映画のタイトルは昔から知っていましたが、なかなか見る機会がなくて、やっと鑑賞できました。白黒で堅苦しい映画なのか?と最初不安でしたが、特撮もCGもない当時の映画技術はどんなものか知りたかったし・・・。昔から太平洋戦争の負けた原因は海軍と陸軍の衝突にあると言われていますが、ことごとく意見が対立している状況は戦争映画で少なからず描かれていますね、米内海軍大臣と阿南陸軍大臣。陸軍大臣といえば東條英機が余りにも有名ですが、阿南陸軍のことは知らない情報でした。しかし・・・・この映画の中で将校は皆 軍刀を差しています、もちろん戦場で戦うために使うものだと思ってましたが、大臣が割腹自殺するというシーンは 映画の脚本かと思いきや 事実だったのですね。「こんな奴は叩き斬ってしまえ!」という台詞がありますが、昭和の時代なのにまるで戦国時代の武士のような生き様なのが驚きました。
武士が割腹自殺するのは、責任を取る ということだと思いますが阿南陸軍大臣はこの世にいる最後として酒を飲んで酔っ払った状態での自決は部下の謀反に対しての事なのか、あまりにも凄まじいシーンで正視に堪えなかったです。強烈なシーンが延々と続く
映画では語られていませんが、
阿南陸軍大臣は、その割腹自殺の臨終の際に・・・・米内を斬れ! と言ったそうですが相当海軍大臣を嫌っていたものと思います。ただ米内海軍大臣は割腹自殺した阿南を焼香に駆けつけていたことから 阿南ほど嫌っていなかったのでは?
この映画の主役でもある、玉音盤を放送の時間まで宮内庁が預かり金庫の中にしまい、更に大量の書類の束のなかに隠すシーン。後から来た反乱軍が必死に探し回るなか、とうとう見つかってしまうのか?
というドキドキのシーンでした。見事な脚本だと思う
実際 玉音盤で放送されたのは歴史的事実だから 盗まれる訳がないという思いでしたが、まさか盗まれるのか??というハラハラした。
また昭和天皇を正面から映さず、後からとか椅子の陰とかからとかやはり当時の恐れ多くも目も合わせられない存在である という描き方でした。