アメリカン・ビューティーのレビュー・感想・評価
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幸せの基準
出勤前に本作を観終わった。
そして外に出たら、車道に白いゴミ袋が舞っていた。しばらく見つめていた。
「幸せ」の基準とはなんだろう。一般的にはでっかい夢を叶えるところから、生きてるだけで丸儲けまで幅が広いように思う。自分自身を考えて見ても、即答で「幸せ」と答えられるかどうかわからない。なりたかった職業ではないがかなり長い間同じ職種で働いているし、いわゆる下っ端でもない。余裕があるほど裕福でもないが、映画館に行くことをためらうほど余裕がないわけではない。若い頃に思い描いた結婚生活ではないが、殺したいほど険悪でもない。いろいろ悩むこともあるけど見栄をはらずに話し、聴いてくれる友達もいる。なにより、平和ボケの国で生まれ育ち命の危険を感じたことはない。
欲をいえばキリはない。それに私が「幸せ」だとぼんやり抱いているイメージは果たして本当に私にとって「幸せ」なことなのだろうか?毎日いろんなメディアから大量に送り込まれてくる「幸せ」のイメージの欠片をこねくり回してできただけのものじゃないだろうか?ひょっとしたら、AIは私の幸せをもう文章化してるのじゃないだろうか?
私は本当に私の幸せをわかっているのかしら?
ただの「アメリカ版家族ゲーム」に非ず
先進国大都市郊外の平凡な中産階級核家族が音を立てて崩壊する有様(そして周囲もみんなおかしい)に「アメリカの美」というタイトルをつける皮肉は流石。ただしこの映画におけるアメリカン・ビューティーは色々な意味があり、バーナム家に飾られるバラの品種そのものやドアの色、レスターが惚れてしまうアンジェラ、そしてアメリカン・ビューティーのような真っ赤な血の色…、それらをまとめてこのタイトルにしたセンスは素晴らしい。
内容も一見するとアメリカ版家族ゲームのようだが、死にゆくレスターの俯瞰的視点から語られる「生と死」の描写は、もっと深く哲学的なところにあるのではないか。すぐには理解できないが、長い時間をかけて(一生)、考察しがいのある映画だと思う。
文学的というか詩的な終始不思議な感覚の映画だった
大人になってから再視聴
やはりケビンスペイシー作品にハズレなし!
高校生くらいの頃に一度観て、私自身は割と好きな作品やなと思ったけれど、私の周りの友達には大不評やった本作。
あれから10年ほど経ち、再視聴。
アメリカンビューティというタイトルからは考えられないほど悲哀に満ち溢れている。夫は精神的な浮気を、妻は肉体的な浮気をし、娘は思春期真っ盛り。よくあるっちゃあるんやろうけど、表だけで幸せ家族を演じ、ある時そのバランスが一気に崩れる。みんな悪い人ではないんやけど、不器用で自分の言いたいことがなかなか言えない&言いすぎてしまう。アメリカの家族あるあるが当時アメリカでは受けたのかなと思った。(アメリカ住んだことないからほんまかは知らんけど)
あの時、学生やったのでビニール袋のシーンくらいしか印象に残らなかったけど、今みると妻側のやりきれないという気持ちもよくわかる。毎日あれだけ綺麗に掃除して、食事も作り、仕事もして身なりも綺麗にしているのに、夫には女としてみてもらえず、虚しくなるよなあ。夫がベッドでしていて妻と喧嘩するシーンもそりゃあ怒りたくなる気持ちはわかるなあと思いながら観ていた。
みんないろんな感情を押し殺しながら生きている人たちばかりやったけど、ある程度言いたいことを相手に伝わるように言わないと爆発した時に取り返しがつかないんやなと改めて思った。主人公は途中からはっちゃけてたけどああいう生き方ができると楽なんやろうなあ…。
深い傷口、泣き笑い。
この気分に合う人向き
壊れていく男性の人生!! 日常をマタにかける作品
ちょっとずつの「あれ?」が積み重なって、最終的に全く予期せぬ地点にたどり着く
アメリカにある典型的な家庭が、アメリカ特有の問題によって崩壊していく様を描くブラックコメディ。
アメリカという国は1776年に建国された、他の国の歴史に比べれば、できたてほやほやの国である。だから彼らはいま、「国」というものをつくっている最中である。世界を舞台に躍進を続ける企業群、広大な面積や資源、世界の警察たる軍備、有名な大統領の話題性など、派手で見栄えもするので思い違いをしがちだが、国としてはだいぶ若い。
つくっている最中という状況に加え、多民族国家的な国民性や右も左も包含する広義の愛国心なんかも相まって、色んな問題が起きている。例えば、銃社会、労使の雇用契約、ティーンの性、精神的病理、退役軍人、共依存的な家族形態や人格形成、不倫や離婚問題、DV、同性愛への偏見などである。
そしてそれらの全てが余すところなく、主人公のレスター・バーナム家に降りかかり、家庭が徐々に崩壊していく。登場人物ひとりひとりに絶大な非はないように思えるが、ちょっとずつの「あれ?」が積み重なって、最終的に全く予期せぬ地点にたどり着く展開は、苦笑いでただ見つめるしかないほど、見事である。
今作でアカデミー賞を受賞した主演のケビン・スぺイシーは後年、ゲイ疑惑、セクハラ、小児性愛という極めてアメリカらしい問題で話題を振りまく結果となってしまった。公開から20年、アメリカは未だ建国の途上にある。
ケビンスパイシー天才
どうやら男性受け?
冷たい家庭 ・無気力夫 ・浮気妻 ・親を嫌う娘 ・麻薬の売人 ・常...
生きればいいんじゃない
どこにでもいるような家族が崩壊していくお話。 夫婦のお互いへの不満...
地に足がついていない人びと
この映画は、最初から最後までずっとクレイジーというか、ヘンだった。
登場人物ほとんど全部が言動が極端だけれど、それもなかなか絶妙で、ありそうでないような、なさそうであるような、、、
なので、「これはリアルではない」と軽い気持ちで笑いながら見るものの、感覚的には身に覚えがあったり、「身近にこういう志向の人いる」と思わされ、結果的には全く他人事ではなった、ということになる。
日常は、そして人生は、リアルにけっこうこんなものだな、と思わされてしまう。
だらしなかったり、見栄をはったり、つっぱってみたり、トシや立場を忘れて子供のようになったり、大人であっても自分の悩みが解決ないままだったり、ない物ねだりをしたり。
最後に主人公は良心や感謝の念を抱くようになるけれど、そのときは人生はもう終わりだったりするところも!
本当のところで地に足がついていない現代の人々を、一段高いところからコミカルに描いたのだと思う。
なかなか凄い見せ方だなぁ~と感心してしまう。
病んでいるのは彼らだけではない
なんなんだ、この映画は‥
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