南国土佐を後にしてのレビュー・感想・評価
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【小林旭さんの格好良さが際立つ作品。今作後に、スターダムを駆け上がったのも良く分かる。】
ー 大ヒットしたペギー葉山さん(ご本人も出演してます)の同名曲をモチーフに、前科者だった青年(小林旭)が、就職しようとするも前科者である事を告げられ、就職取り消しが続く中、更生しようと奮闘する。小林旭が、腕っ節の強いスゴ腕ギャンブラーの主人公をさっそうと演じている。ー
◆感想
・シンプルなストーリーだが面白い作品である。
・ジョージ(小林旭)がサイコロ博打で刑務所に入っている時に慰問に来たペギー葉山の”南国土佐を後にして”を聞いて、高知に戻り真っ当な人生を歩もうとするも、恋人ハルエ(浅丘ルリ子さん。当然、お若い。)の父親の借金100万円をかたにしたヤクザから因縁を付けられ、再び東京へ。
・真っ当な職に就こうとするも、色々な人から前科がある事をばらされ、職に就けないジョージ。そんな中、高知からハルエが逃げてきて・・。
<100万を稼ぐために一晩だけサイコロ博打に挑むジョージ。サイコロ捌きが格好良い。そして、100万をヤクザに叩きつけ、ハルエを開放し、彼女の所に行くのかと思いきや、一人警察に向かう姿。
今作が切っ掛けで「渡り鳥」シリーズが製作されたそうである。納得である。>
最終頃のダイス裁きが凄い! 神技
1.この映画は、小林旭の我慢が多く、
観ててじれったい感じがするストーリーの映画
2.だが、70~72分の小林旭のダイス裁きが、特上の出来
3.何しろ、5個のダイスを壺で振って、5個とも1の目
2個で振って2個とも1の目だと、ピンゾロと言うが、確率は1/36
5個で振って5個とも1の目 →確率は、1/7776
4.文章で書くと、上記になるが、
それまでの伏線を知ると、とても感激する
①ダイス絡みで刑務所暮らしあり、ダイスを自ら封印
②恋人の父親が、ヤクザ男に100万円借り、返済しないまま死亡
③恋人は、100万円の為にヤクザ男に、妻になる事を強要されてた
④恋人の為に、封印していたダイス勝負を解く
⑤300万円(200万円+100万円=相手2人)の大勝負
⑥先に振った相手は、ポーカーで言えばフォーカードの様な目
⑦隣の部屋で歌手が「南国土佐を後にして」を歌い出した
⑧故郷を思い出させるので、歌を止めて欲しい、と仲間に伝
⑨仲間の1人が、隣の部屋に行き、歌を止めさせた
⑩そして壺を振り、出した目が、5個とも1の目 → 神技
→ 観てて、涙が出る程、感激した
5.ダイスを振る場面以外は、星3個
ダイスを振る場面は、星4個
一番高い所で、評価した
これは傑作!大ヒットしたのは当然!納得の面白さ! 感激しました
題名は、1959年4月発売のペギー葉山の大ヒット曲
この人はドレミの歌でも有名ですが、元々はジャズ歌手
この歌は戦争中に中支戦線で高知県出身者の多い連隊で自然発生したものとのこと
戦後、復員した人々で高知の元祖ご当地ソングになったそうです
それをレコード会社が取り上げて、歌詞を戦地を思わせる部分を改変して発売したというもの
なので、ペギー葉山版は三人目の発売になるそうです
たまたまNHK高知放送局のテレビ放送開始の時の番組で、来県した彼女がご当地ソングと言うことで歌ったことで全国に広まり、レコード発売となり大ヒットと言う流れだそうです
本作はその歌詞からインスピレーションを得て映画化されており、劇中でなんどか歌われて物語の効果を高めており、歌謡映画の中でも水準が特に高い出来映えです
4月発売の大ヒット曲を実質3ヵ月でゼロから映画にして、この高い品質水準なのですから恐れ入りました
ペギー葉山も本人役として3回も登場してステージでこの曲を歌うシーンもあるサービスぶり
冒頭こそ刑務所からの出所シーンで始まりますが、すぐに高知ロケシーンとなります
高知と言えば高知城、よさこい祭りにはりまや橋
どんどん映ります
観客が観たいものを観せる
こういったサービス精神が素晴らしいです
本作公開は1959年8月2日
よさこい祭りは毎年8月9日からのはずですから、お祭りのシーンはなんと全員エキストラによる超大規模な現地ロケで再現したもののようです
なるほどそうでないと本当のお祭りなら絶対撮影出来ないシーンが撮れています
お話も良く出来ていて退屈しません
クライマックスのサイコロ賭博の最終勝負の盛り上がりは半端ありません
ラストシーンも三人で夜明けに皇居のお濠端を歩いていて、?と思わせると、小林旭が歩いて行く先は桜田門の警視庁の遠景と言う具合で、演出もなかなかです
重要なサイコロ賭博のモチーフですが、任侠ものの丁半博打でなく、サイコロ4個を使う西洋式です
主人公はダイス賭博の達人という設定で、壺を振ってサイコロを縦に4個積み上げて見せるシーンは、当然細工したり、何回も振って編集して撮影したものと思ったら、なんと彼は細工も編集も無しで一回で成功させたそうです
ベレー帽の西村晃の感心ぶりは本当の驚きだったわけです
小林旭は21歳、身長は石原裕次郎と同じ180センチ
しかし身体の線が裕次郎のようにガッチリしていなく、鞭のようにしなやかでスリムです
相手役の浅丘ルリ子は19歳
元から細い身体がもっと細く、小鳥のようです
出番は出ずっぱりではなく、時折登場程度ですが、小林旭とのラブシーンは演技を超えた熱を感じさせます
二人は本作からか、職場恋愛に発展していき、この後程なく同棲するほどの仲になるそうです
悪役の内田良平がまた素晴らしい存在感があり、本作を引き締めています
南田良子が演じる、主人公の特攻で戦死した兄の婚約者が女将をしている東京の料亭の名前は「つかさ」
もちろん高知のあの名店の名前を拝借したものでしょう
高知出身者の多い大阪には、その店名の高知料理屋があり、たまに行くことがあります
久しぶりに高知名物の大皿(さわち)料理を食べたくなりました
アウトローの哀愁
ペギー葉山の同名歌謡曲をモチーフにした日活アクション。
小林旭の1959年の主演作で、この作品でスターとなり、後の代表作シリーズの原型となった。
なので、“渡り鳥”“流れ者”“銀座旋風児”より先に見る事をお勧めする。
刑務所を出所した元ヤクザが、故郷に帰り恋人と堅気になろうとするが、彼女に横恋慕するヤクザのボスの嫌がらせを受け、再びヤクザの世界に戻る…。
アウトロー、主人公を待つヒロイン、主人公に恋焦がれる別のヒロイン(性格は真逆で結構ウザい)、悪漢…。
設定は定番で、ストーリーもこれと言って新味ナシだが、娯楽アクションというより、アウトローの哀愁劇の印象が強い。
恋人や母親への思いは純粋だが、前科者の過去で就職もままならない。追い討ちをかける苦境…。
一度道を踏み外した男の哀しみを浮き彫りにする。
主題曲が主人公の姿を代弁。
土佐(高知)の風景が郷愁を誘う。
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