こころ(1955)のレビュー・感想・評価
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しかし 君、恋は罪悪ですよ。わかっていますか?
1955年・市川崑監督作品。
漱石の原作にかなり忠実な作り。長い手紙による告白。しかし漱石の文章の映像化はかなり難しさは感じた。こころを映像化したのを見たい!というストレートな欲求には応えられるが、映画的サムシングが物足りない。
森雅之によるうつろな目が先生を体現しておる。しかし学生役はチトきつかったか。新珠三千代さんはとても綺麗でした。
めぞん一刻のこころ
読んだのは小学生の頃だった。先生の家に通う私ってのは奥さんに魅力があったから?などとこの映画を観て思えるようになった。不倫など、かなり現代的な夫婦の問題も垣間見えるようで、先見の明があったのだろうか・・・映像だけ見ていると、そのうえに師弟愛を超えた同性愛みたいなものもあるような気がする。
「恋愛は罪悪」「親の財産は生前に整理しておけ」と先生は言う。徐々に先生の過去が明かされていくが、中盤からは親友梶との回想シーンが織り交ぜられる。そして明治天皇崩御と乃木将軍の死の報道により野淵は明治の精神に殉死するなどと悲観的になる。
過去の話は有名すぎますが、抜け駆けして求婚(しかも母親に)して罪の意識に苛まれる心の葛藤。梶の自殺というショッキングな展開。梶が仏教を勉強していた大学生ということもあったけど、辛気臭さは上手い具合に表現されてました。先に静さんに告白されてしまうんじゃないかという焦りや、断崖絶壁の上で「突き落としたらどうなる?」などと恐ろしい冗談を言うシーンなど。「人の死を何も考えちゃいない」という先生の思想にはこんな過去の出来事があったからだということがよくわかります。
「妻の顔を見るたびに梶のことを思い出す」「自分が生きているだけで妻を不幸にする」などと日置への手紙に綴った内容はほんと厭世主義の極意ですわ。で、なんで日置が奥さんにあやまらなければならないんじゃ~
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