殿さま弥次喜多 捕物道中のレビュー・感想・評価
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カット割りの的確さとスピード感で魅せる冒険活劇の楽しさ
中村錦之介と中村嘉葎雄の兄弟コンビが活躍する(殿さま弥次喜多)シリーズ第二作で、前作の主要スタッフでは脚本家が変更になり、笠原和夫と鷹沢和善が担当している。この鷹沢和善というのは、監督の沢島忠と妻冨久子の共同脚本のペンネームという。夫婦でひとりの脚本家とは大変珍しく、何と仲睦まじいことであろう。前作が怪談話を味付けに尾張藩の陰謀事件を楽しい活劇に仕上げていたが、今回は海賊と観音小僧(鼠小僧と同じく義賊)に江戸の岡っ引きが加わり、尾張から船に乗り込んだ二人の若殿が見事に悪党退治する冒険活劇となっている。同じ船に乗り合わせた訳あり登場人物が様々に入り乱れるも、終始快活なタッチで纏め上げ、沢島忠監督のカット割りの的確さとスピード感は前作同様小気味よい。ズームとパンの効果的な使用も、絵コンテで充分練られた制作手腕と思われる。
役者では尾張藩の垣内権兵衛役を演じた山形勲の厚かましくも間抜けなキャラクターが出色で、このコメディ演技は珍しいのではないだろうか。映画の水戸黄門で有名な月形龍之介は貫禄の存在感で殺陣でも見せ場を作る。女優ではおれん役の雪代敬子という人の気風の良さが印象に残った。丘さとみのお夢は何度か駆け落ち心中を試みるが上手く行かず、錦之介の徳川宗長に、お前たちは心中を職業にしているんじゃないのと呆れられるところが可笑しい。綺麗なコーラスを聴かせるダークダックスは、前作の大根演技からカブ演技に昇格と、脇役の面白さも、この映画の良さである。
主演の錦之介は前作同様素晴らしいし、中村嘉葎雄は役柄に慣れた好演を見せるが、これは中原ひとみ演じるお君と絡む脚本の良さであり、そこに中村嘉葎雄の良さが出たと思った。
映画演出で上手いと唸らせるのは、最後の船上のクライマックスに至る中で最大の山場、主要登場人物が総出の漁師小屋での予測不可能な展開だ。日本の喜劇映画の良さと言うと大袈裟かもしれないが、ユーモアとアクションが一体になった醍醐味がある。若殿ふたりだけが海賊の集団と決戦するクライマックスは冷静に見れば無理があり、結末も映画として危険水域にまで行っている。そんな馬鹿な、と言いたくもなる。だがこの強引な大団円を含めて大立ち回りを楽しむのが、この喜劇の正しい観方なのであろう。
今回は船の帆に登る危険なアクションシーンも多く、映画スター中村兄弟に替わるスタントマンのカットが前作より目立った。ハードスケジュールのスターをカバーする裏方の活躍やその他大勢の端役の充実があって成立した裏事情も、日本映画全盛期の東映時代劇の姿であろう。
ラストの立ち回りはまるでディズニーアニメだ!
退屈な毎日に嫌気が出た若殿様2人による『ローマの休日』
江戸から紀州和歌山まで帆船と宿場町で繰り広げられるドタバタコメディ。
大爆笑とまでは行かないが何度もニヤニヤしてしまう位の楽しさがある。
話自体は大変他愛の無い話なのだが沢山の登場人物が居ながら無理なく纏め挙げている。
娯楽性に溢れていて万人に受ける作品です。
ラストの帆船がどんどんと解体されていく大立ち回りはまるでディズニーアニメの様だ。
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