とどかずの町でのレビュー・感想・評価
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とどかずの町って「旭川」?
昔は新得軽油で、札幌へ行く夜行列車が走っていた。僕は釧路駅でその列車を待っていた。
8月のお盆だったので、釧路と言えど暑い夜だった。
目的の
斜里岳と羅臼岳は登る事ができた。しかし、僕は野生の猿の様な風体になっていた。そんな僕に
地元の髭面のオヤジがすぐに声をかけてきた。オヤジと言っても紳士とは言えない野生の犬見たいな男。つまり、ホームレスさんである。
「あんちゃん、どこから来た?」僕はまだ若かった。
「千葉県の柏と言う所からです」僕はいつもきちんと答える事にしている。
「どこだ?そこ」釧路にいたホームレスは田中村を知らなかった。
「ずっと住んでんのか?」
「生まれは小岩です」
「あ!聞いた事ある」
釧路のホームレスと言えど、小岩は知ってんだと思った。と言うよりも「行った事ある」と言わなかったので、このオヤジは釧路から出た事ないのか?と思った。そこで
「おじさんはどこの人なの」と聞いてみた。すると
「俺には家はない」それは分かってる。
「生まれは旭川だよ」
と言うから、核心をついて
「へぇ。東京へは行った事はないのですか」と聞くと
「ないよ。若い頃は戦争だったからね」そんな世代である。
「じゃ。北海道から出た事ないのですか」
「無いよ」とホームレスさんは答える。
ちょっと驚いた。だから、僕は一番気になる事を聞いてみた。
「今は夏だから良いけど、冬は大変でしょう」すると
「大変だよ。でもね。ここが一番良い所」と言う。
どうやら北海道を出た事がないのになんで一番良い所と言えるのだろうと思った。でも、余り突っ込んで聞いても悪いと思っていたら
「金がないから、遠くへ行けないんだよ」とオジサン自身から納得の行く答えが返ってきた。
生きていれば90歳以上の方。昭和のオヤジだろうね。
と、旭川へ行かない「流しのおじさん(高田渡さん)」を見て思った。
「オブリガード。おじさん」
追記
サックスの演者は芝井直美さんと言う方。
上手だと思う。
パリのルーブル美術館の前の広場でサックスを演奏する人を見た。
「マイフェバリットシングス」をやっていた。当然、サックスを入れるバッグは小銭でいっぱいだった。その演者はその次とその次の日もサックスをそこでひいていた。勿論、違う曲をひいていた。しかし、相変わらずの人集り。お金もいっぱいいっぱい。
パリにもリスボンにもホームレスは沢山いた。殆どがお金を所謂恵んでもらえない。ボスターに「私にはお金が無い」とどでかく掲げていても、恵んでもらえない。でも、サックスを吹いているホームレス(ホームレスじゃないか?)にはお金が沢山。
さて、僕はその時
「もっと早く気づいていれば良かったのになぁ」と思った。要は場所と芸の力量なんだよね。もっと早く気づいていればね。
やはり、北海道なら小樽か函館だよ。立待、湯の川温泉近辺。小樽なら倉庫跡かね。
まぁ、地元の許可いるのだろうけどね。
どうせ、僕ぐらいしかこの映画見ないだろうから、長々と読まれない話を書いてみた。
高田渡さんも亡くなっていた。ご冥福をお祈りします。高校のかつての親友だった奴が好きだった。
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