「もっともっと再評価されても良い戦争映画の大傑作!」血と砂(1965) 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)
もっともっと再評価されても良い戦争映画の大傑作!
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「映画監督・岡本喜八 生誕100周年記念プロジェクト in 新文芸坐 vol. 3特集「戦中派」岡本喜八」(24年8月1日~21日)いよいよ本日最終日。
特大ゲリラ豪雨に直撃されましたが、何とか最終上映『血と砂』(1965)に滑り込みセーフ。
『血と砂』(1965)※ネタばれあり
終戦間近の日中戦争最前線。
戦闘経験のない少年軍楽隊13名が最前線に転属。
転属に反対したベテラン曹長(演:三船敏郎さん)が3名の古参一等兵(演:佐藤允さん、伊藤雄之助さん、天本英世さん)、曹長を慕う慰安婦(演:団令子さん)らと共に彼らを訓練し、敵陣奪取に挑む戦争アクション映画。
まずは大のジャズ好きな岡本喜八監督らしく軍楽隊の演奏曲は「ディキシーランド・ジャズ(ニューオーリンズ・ジャズ)」。
細かいカット割りによって生まれるリズム感とテンポの良さはため息がでるほど見事。
前半はユーモアを交えながら痛快娯楽アクションとして突き進むが、敵の猛攻にひとり、またひとりと少年たちが戦死することで演奏楽器も減り、最後はトランペットのソロ演奏だけになる…娯楽性を前面に押し出しながらきちんと反戦メッセージを訴える、本当に良くできたストーリーです。
また、三船敏郎さんの豪放磊落ながらも他人に繊細な指揮官、豪快な笑顔が印象的な佐藤允さん、大戦時は実際に通信兵だった天本英世さん、コメディリリーフの伊藤雄之助さん、実は部下思い職業軍人の仲代達矢さんと、まるで当て書きのような完璧なキャスティングでしたね。
喜八監督作品はどれも傑作で優劣はつけがたいですが、もっともっと再評価されても良い戦争映画の大傑作ですね。
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