毒薬の匂う女
劇場公開日:1967年9月30日
解説
別冊小説現代に掲載された井上友一郎の原作を、「痴人の愛(1967)」の池田一朗が脚色し、「夜の罠」の富本壮吉が監督した風俗もの。撮影はコンビの小原譲治。
1967年製作/87分/日本
原題または英題:The Smell of Poison
配給:大映
劇場公開日:1967年9月30日
ストーリー
経済研究所を主宰する一条信也は、一流宝石店の女主人である、彼の娘の美也子と共に横浜の社交界の中心人物だったが、裏では悪どい恐喝をしていた。ある日美也子の店へ宝石を買いにきた大協バナナKKの社長夫人の口から二重帳簿の存在を知った信也は、それをネタに社長の長谷をおどし、資格検査のむずかしいバナナ業者の一人になった。ただの恐喝よりも実入りの多いことを見込んでのことだったが、その信也によって大協の前田重役は会社の機密を洩らした後、殺されてしまった。前田は自殺ということで片づけられ、この事件が収まって間もなく、信也は美也子がつかんだ次のネタにとびついた。それは石油の二大資本によるある埋立地の買収をめぐっての強烈な争いだった。信也は土地の持主夏川に自分の愛人由美をあてがって、一方の石油会社と、土地譲渡の契約を結ばせた。信也のたくらみに気付いた夏川は発狂、また由美もさんざん信也に利用された揚句、自殺に追い込まれたのである。莫大な悪銭をつかんだ信也は、やがてバナナの買いつけに台湾に向った。一方、美也子はかつて現在の経済研究所を乗っ取るため、その持主だった宮川と結婚させられたことを思い出し、暗い気持ちになっていた。そんな時、研究所の新入社員次郎と知りあった彼女はたちまち恋に落ちた。それは帰国した信也の許すところではなかった。何故なら実は美也子は信也の娘ではなく養女であり、信也は彼女の美しさの虜になっていたからだ。それを打ち明けた後、信也は美也子を犯した。しかし、絶望的になった美也子は信也愛用の猟銃で彼を射ち、マンションに火を放って自ら果てたのだった。