劇場公開日 1992年7月4日

「母の愛見たさに」遠き落日 りかさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0母の愛見たさに

2023年8月23日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

この作品、野口英世の天才ぶりや努力や世渡りに驚かされますが、何と言っても母の愛!
初めのうちは、近くの恩師の仲代達矢に来た手紙を読んで貰って英世の近況確認をしていた読み書き出来なかった母。
どうしても息子に会いたくなって自筆で書いて手紙を送ります。多分、仲代達矢に教えて貰ったのでしょうか。
一字一字丁寧に丁寧に書いて思いを伝えます。
そして、やっと会えても息子が自分の心配をするより戻って人々の為に働いて欲しいと心とは裏腹に送り出します。
側に居て欲しい気持ちいっぱいなのに、
我が子が、人の為、世界の人の為に働く方を望む。
また、英世の賢さの話で自分ではなくお父さんに似て賢いんだよ、と、飲んだくれの父親をきちんとたてていた場面もありました。
でも、英世は母の賢さ強さをちゃんとわかっています。
母の無償の愛も。
だから、自宅の暖炉の上に母の肖像画を飾り毎日顔を合わせていたのでしょうね。
三田佳子さんの演技に、感動です。
世界を舞台に活躍する偉大な息子の母ですが、母自身にとっては、可愛い一人息子。
そんな我が子を想う気持ちをよく表現してくださった作品だと思います。

英世が後期試験に合格した時、合格者の身分が記されていました。士族、士族、平民と。
明治でもまだ身分制度があり、しかし、身分に関わらず成績で合格し始めた時代だったのでしょうか。改めて英世の天才ぶりに驚かされました。
あの左手のやけどは、細菌学の権威野口英世博士を産み出す為のやけどだったのかと、ご本人のご苦労も知らず思ってしまいました。

りか