TOMORROW 明日のレビュー・感想・評価
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【”人間は父や母のように霧の如くに消されてしまっても良いのだろうか・・。”今作は長崎原爆投下の前日に、様々な事情を抱えつつ日常を生きる人達の姿を描いた強烈な反原爆映画である。】
■1945年8月8日が舞台。
1.中川(佐野史郎)とヤエ(南果歩)の結婚式が、質素ながらも行われている。二人は恥ずかしそうだが、嬉しさを隠せない。中川は実母にある秘密があるが、それをヤエには隠しており新婚初夜にそれを告げようとするが、ヤエから”明日以降でも良いですから・・。”と言われ、翌日の朝ヤエが見送る中、職場に出掛ける。
2.結婚式の最中に、ヤエの姉の臨月のツル子(桃井かおり)に陣痛が起き、翌朝、難産の末に元気な男の子を出産する。
3.米軍捕虜の為に、紛争する兵士(黒田アーサー)。
その他にも、戦時下の敗戦濃厚な日本の長崎で日常を生きる人達の姿が映されて行くのである。
■ヤエの妹・昭子(仙道敦子)は恋人・英雄に赤紙が来たことを知るが、翌日の8月9日。いつものように軍事訓練をしている中、空襲警報が鳴らない空を見上げるのである。
そして、午前11時2分に炸裂する米軍が超高所で爆発させた『ファットマン』の閃光が画面一杯に広がり、不気味なキノコ雲が上がり、映画は幕を閉じるのである。
<今作は長崎原爆投下の前日に様々な事情を抱えつつ生きる人達の姿を描いた反原爆映画なのである。>
そこで 時は止まる
「風が吹くとき」を観たあとに、
これもいつかは観るべきだと、心していた作品です。
一組の若者の祝言を中心に、その家族や友人たちのエピソードと、それぞれにとっての「前日」が語られます。
そう。本作品の題名は「明日」ですが、映画の内容はすべて「前日」。
前の日の、庶民の生活なのです。
井上光晴の原作。
淡々と、ありふれた市井の人々の暮らしが語られるだけで、
そこでストンと物語は終わる。
・・こういう文学的形式。
「午前11時2分に何が起こったのかは
あなたはご存知なんでしょう?」
と、鑑賞者は突き放されるかたちです。
「前日」を知る事は、残酷です。
私事ですが、スマボのメールのクラウドが満杯だとの表示が出たので、不要な受信送信の履歴をどんどん消去していました。
高齢の母との、あれやこれやの交信がこんなにも多かったのか!とびっくりするようなメールの本数。
それをサーっと流し読みしていて
ある時点で手が止まってしまった。
《この翌日に母が倒れる》
その「日付」に画面が到達しそうになって、僕は作業をやめてしまった。履歴を読めなくなってしまったのです。
胸騒ぎと、冷汗。
赤い月。
映画は、
平凡すぎて、退屈で、
誰の興味を引かないような、 ドラマ性のない日常の上に、
そんな彼らの上空に《爆弾》は炸裂した事だけを伝えます。
そういうことです。
「明日」
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