劇場公開日 1982年6月12日

「切なさが身に沁みる。 のだが、山崎さんにすべてを持っていかれる。このセクシーさを見よ。」道頓堀川 とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 切なさが身に沁みる。 のだが、山崎さんにすべてを持っていかれる。このセクシーさを見よ。

2025年12月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館、VOD

泣ける

興奮

ドキドキ

さすが、深作監督。
展開に無駄がない。
映像も魅せてくれる。

三つの物語が、こう絡むとは!!
 LGBTQ+に関しては、今の感覚ではNGワード乱発。でも、それらの言葉があるから、ラストの展開にも説得力が出る。
 それぞれの置かれた立場で、それぞれにもがいて、より幸せになろうとして、生きていく。その様が愛おしくて。
 それぞれの闇が開け、未来に向かって歩き出そうとするその時に。
 ラストが不評なのも、納得。それまでの物語にどっぷり共感できているからこそ。

柄本さんて、こんなにセクシーな色悪だっけ?とても美しくも非情で。同時に情けない。クズっぷり。
カルセール麻紀さんが恋する女を絶妙に熱演。

さとみ役の古舘さんの旅立ちが、悲しくも雄々しく美しい。
その恋人役の渡瀬さんが、「これだけ?!」の出場だが、つい慕いそうになるダメンズを演じて下さるからこそ、古舘さんの身の振り方が際立つ。

佐藤さんも熱演。正直、ちょっと臭い芝居だが。ギャンブルに現を抜かしつつも、甘々な二世が、父との戦いの時の、迫力は泥臭くもビシビシと迫ってくる。
対する父役の山崎さんが、セクシーでクールで。それでいて、これでもかと言う汚れ役を演じつつも、愛あればこそと言う演技を見せてくれる。

その二人を見守るユキ役の加賀さん。百戦錬磨のママであり、武内を慕っている乙女心がキュンキュン。
そのユキと武内が慕う伝説のチャンピオンを演じる大滝さん。伝説と呼ばれるだけの風格。

それらの話に巻き込まれる邦彦演じる真田さん。ピュア。だからこそ、ラストが。
その恋の相手、まち子を演じる松坂さん。あざとい表情・ふるまいもあるのだが、この方がなさると、ただ美しく。

雑多な道頓堀。
闇がすぐそこにある反面、こんなにピュアで、人情に溢れているなんて。

(原作未読。ラストの改変に原作者が怒ったとか)

☆ ☆ ☆

ああ、それにしても、
山崎さんの艶!!!
お年を召した山崎さんのファン。この頃も青年の父親役なので決して若くはないのだけれど、私が普段見慣れている山崎さんよりもっと若くて(当たり前だ)、ほれなおしてしまいました。いい男は若い時も、年の重ね方もすてき!!!

アクション俳優としての売り方が多かった真田さんの初めてのアクションなしの映画。この映画以前の役と違って、繊細で孤独な青年を演じていて初々しさが際立つのだけれど。

でも、もう一つの筋の山崎さん・佐藤浩市氏演じる親子を巡る物語が半端なく、派手で緊迫感があるから、印象がそっちにもってかれてしまう。
その上、上記のように、山崎さんの存在感が圧倒的。ある時は優しい後見人。ある時はえげつないギャンブラー。ある時は、獅子の子落とし。それが一人の男の中に眠っている奥深さ。う~ん。
 それだけでも必見です。

(2025.11.24再鑑賞)

とみいじょん
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