「"家族とは何か"を問い掛ける不朽の名作!」東京物語 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
"家族とは何か"を問い掛ける不朽の名作!
紀子三部作第3作。
Blu-ray(ニューデジタルリマスター)で4回目の鑑賞。
家族。人間ならば誰しもが抱え、関わり続けなければならない普遍的なテーマを扱った不朽の名作。世界中の映画監督が選ぶ映画ランキングの第1位に輝いています。
本作で描かれているテーマがどんな時代であっても変わらないものであるが故に、世界中の人々が揃って共感することが出来ると云うことの証明だと思いました。
笠智衆と東山千栄子が演じる老夫婦の、穏やかな仕種に垣間見える悲しみが、多くを語らないだけに痛ましかったです。
久しぶりに会った我が子たちは、はじめは両親との再会を喜びましたが、日常に追われる中で次第に持て余し、最後は熱海旅行にかこつけて追い出してしまいました。
騒がしい旅館で一夜を過ごす老夫婦は、どのような想いで床に就いていたのか。考えるだけで胸が痛くなりました。
初鑑賞ではとても薄情な光景に思えましたが、何回も観ていくと子供たちにも生活があって、そうしてしまう気持ちも分からなくはないなと云う感想を抱くようになりました。
親は大切な存在であると云う想いは変わりませんが、老夫婦の子らに共感してしまった自分自身に正直驚きました。
そんな子供たちとは対象的に、戦争で死んだ次男の妻・紀子は、体良く追い出された老夫婦に対し、謂わばすでに他人であるにも関わらず、本当の子以上に甲斐甲斐しく世話を焼いて心をつくしていました。私はこの描写を見て、深く考えさせられたのでした。人の心の清い部分が紀子を通して描かれ、それ以外の部分を老夫婦の子らの姿で描き出したのかな、と…
家族とは何か?
考えれば考えるほど、心に沁みる。
味わい深い名画だなと思いました。
[余談]
東京と尾道とでは、流れる時間の速さが全く違う。
流れる時間が人を変えてしまうのでしょうか?
都会の喧騒と慌ただしさの中にいると、ふとした瞬間、大切な何かをポロッと落っことしてしまうのかもしれないなぁ…
[以降の鑑賞記録]
2019/10/25:Blu-ray(ニューデジタルリマスター)
※修正(2023/07/16)
紀子は仕事を融通して付き合います。実の娘のように。
母親が帰る途中体調崩して、
駆けつける時も、長男長女は喪服の用意して。
紀子は、そんなことに気がまわるよりとにかく急いで駆けつけます。
お父さんがひとりぼっちになった家に紀子だけしばらく残ります。
すみません、、コメント修正します。
正直長男長女に腹が立ちます。
自身の両親が上京して来たのだから、滅多に無いことなのに、
もっと付き合ってあげればいいのに、と。これが東京で半ば毒された結果なのでしょうか。