「なにもない。なにもある。」東京物語 グダールさんの映画レビュー(感想・評価)
なにもない。なにもある。
なにも起こらない。なにも起こらないからこそ伝わってくるものがある。
実際の生活の中で、何か起こることなんてそうそうない。家族の中で何か大きな事件が起こるとすれば、それは「生」であったり、または「死」であったりということしかない。ほとんどの家族は、そうだろう。
だからこそ、生について死について考えるには「家族」というのはいい題材になるのだと思う。
この映画にあるのは、そうした徹底的なリアリズムである。生と死の本当のところを見つめる。現実には起こらないような事件を通してでなく、私たちの日常を切り取ることで日常の中の「生」と死を直視させる。
淡々と物語は進んでいくが、映画に込められたメッセージは強烈だ。
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