劇場公開日 1953年11月3日

「なにもない。なにもある。」東京物語 グダールさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0なにもない。なにもある。

2016年8月17日
iPhoneアプリから投稿

なにも起こらない。なにも起こらないからこそ伝わってくるものがある。

実際の生活の中で、何か起こることなんてそうそうない。家族の中で何か大きな事件が起こるとすれば、それは「生」であったり、または「死」であったりということしかない。ほとんどの家族は、そうだろう。

だからこそ、生について死について考えるには「家族」というのはいい題材になるのだと思う。

この映画にあるのは、そうした徹底的なリアリズムである。生と死の本当のところを見つめる。現実には起こらないような事件を通してでなく、私たちの日常を切り取ることで日常の中の「生」と死を直視させる。
淡々と物語は進んでいくが、映画に込められたメッセージは強烈だ。

グダール