東京キッドのレビュー・感想・評価
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1988年の東京ドームのこけら落としの美空ひばりに行こうとしていた...
1988年の東京ドームのこけら落としの美空ひばりに行こうとしていた。まぁ、そのくらい『美空ひばり』が好きだった♥と言いたい所だが、当時からめちゃくちゃファンであった訳ではない。同じこけら落とし興行のマイク・タイソン戦に変えてしまった。つまり、僕は美空ひばりさんの生声を聞いていないと思う。だがしかし、榎本健一さんの舞台を見たような気がする。祖母につれられて2階から鑑賞したと記憶している。バナナが好きで食べ過ぎて、腹を壊した話を祖母から散々聞かされた。その時の公演が榎本健一だった。はずだ。
我が亡父はあきれたボーイズのファンだったが、クレージー・キャッツがテレビや映画に出るとあっさり乗り換えたようだ。あきれたボーイズの二代目を散々バカにしていた。亡父曰く。『歌が古い。これからはJAZZさ』なんと脱亜入欧のあきれたボーイだった事か!!
美空ひばりさんは『お嬢』などともてはやす事なく、芸を学んでもらっていたら、世界的な役者になっていたと思うけどね。歌が生声の時下取りがアメリカ映画にはない。LIVEがこれだけうまい流行歌手って世界的にも珍しい。
と僕は思っている。
元祖アイドル
プロットは、生まれたばかりのマリ子(ひばり)と母を残しアメリカに出稼ぎに行ったきりの父(アチャコ)が成功して戻ってきますが、見捨てられたと思っていた父の出現に母子は戸惑うばかりです。母は父に恨み節を言いながら病死、その後いろいろあって薄幸のマリ子を育てることになった流しの三平。綺麗ごとを嫌ったのか退屈させないためなの演出なのか一度ならずも二度までもマリ子を厄介払いしようとするシーンは全く頂けませんが歌と言う共通の絆が二人をかろうじて繋いでいるようです。所詮、浮草稼業の三平では無理があり、父の懇願もあって親元に帰すことに落ち着きます。
劇中で流しの三平役の川田晴久は歌謡漫談「♪地球の上に朝がくりゃその裏側は夜だろう~」のフレーズでも知られる当時人気のボードビリアン、早くからひばりの才能を見抜き自身の公演に出演させて(笠置シズ子の歌真似などしていたようだ)可愛がっていた、ひばり自身も芸能界の師匠として慕っていたようだ。本作の一年前にコロンビアから本格デビューしたひばりと川田は日系人兵士の記念碑関連のアメリカ公演に連れだって赴いている(劇中のハワイシーンはその時の実写である)。
その勢いをかってご両人を主役にした映画化が企画されたのだろう。
監督の斎藤寅次郎は喜劇映画の巨匠、映画俳優ばかりか一座を構える喜劇役者から寄席芸人まで幅広い喜劇人をあつめ落語の長屋もののような人情噺を和製ミュージカルに仕立て上げる奇才でした。ご多分に漏れず当時の人気者エノケンやアチャコも脇を固め、堺駿二(堺正章のお父さん)もコミカルな役回りを飄々と演じています。
残念ながら古い作品ですので時代描写を含めやや難があるかもしれませんがデビュー当時のひばりさんを観られる貴重な作品です。歌ばかりか子役としても天才であったことが伺えます。
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