「高揚感溢れる本物の大会、そして本物の映画!」東京オリンピック KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
高揚感溢れる本物の大会、そして本物の映画!
NHKのBS放送の録画で何十年ぶりかで鑑賞。
この映画から受ける、
何かとショーアップされた
昨今のオリンピックには無い
素朴な雰囲気の大会から受ける高揚感溢れる
感動性は、
今風の進歩したCG特撮映画では
本物のように見せられながらも
何故か心に響かないシーンの作品に比べ、
実際にそのシーンを作って撮影したかつての
映画作品のように、
全てが本物っぽく見えたためかもしれない。
どんなに優れたCG作品として評判
となった昨今の映画でも、例えばかつての
「大列車作戦」の列車脱線シーン等の
緊迫感には足元にも及ばない。
人間はまだまだ本物とそうでない物を
見分ける能力を持ち合わせている
のだと思う。
いくら高度な技術を使った
近年のオリンピックであっても、
この東京オリンピックのような感動は
生まれなかったのではないかと想像
してしまう映像の連続だ。
本当の感動は人と人との
真の触れ合いからしか生まれず、
また、映画としてはそこにしっかりと
フォーカスされているからだろう。
確かに来日した選手や関係スタッフ
及び観戦者の皆さんには
現代の社会水準から比較したら
何かと未設備だったり未熟な対応点も
多かっただろうから
多大な不便や不満を感じさせた要素も
少なくなかったとは想像出来るものの、
それこそ“本物のおもてなし”の心から
世界中から来られた皆さんと
日本人に心豊かな結果をもたらしたのだろう
ことを画面から感じ取ることが出来る
見事な映画だ。
それなのにこの作品が完成した後、
国は公式記録映画には相応しくないとして、
別の記録映画を作った。
各競技の選手や記録に
充分に焦点が当てられていない
との理由だったと記憶しているが、
果たしてオリンピックは選手や記録の記憶
のためだけのものだろうか。
コーチ・監督のスタッフ他の大会関係者だけ
に留まらず、
会場・テレビで観戦する国民や、
もっと言えば興味深く注目頂いている
世界中の全ての方々のものだろう。
その意味では、この作品は競技記録だけに
留まらず、
選手の心情に迫ったシーン、
関係スタッフの裏方的な努力のシーン、
観客の悲喜こもごものシーンが
丁寧に拾われており、
素朴な大会の中で人間そのものを
拾いまくったそれがまさに
“真のオリンピック精神を体現させた大会”
に相応しい映画だったと思う。
クロード・ルルーシュはこの映画の影響から
「白い恋人たち」を作ったとも聞いている。
総監督を務めた市川崑作品は、
戦記物、文芸作品物、横溝正史物などを
随分観たが、
この映画ほど世界的に意義があり、
誇らしく思えるものは無かったと思える
素晴らしい作品だった。
きりんさんへ
貴重な情報、ありがとうございました。
本当に心配ですね。河瀬監督への依頼は国からなのでしょうか。ある意味、この大会はフェアの前提が崩れてしまっていますので、それこそ市川総監督のように選手の勝った負けたの部分ではなく、河瀬監督にはコロナ禍での大会に遭遇した選手の人間模様そのものに焦点を絞った映像を期待したしたいですね。また、選手以外の部分でも、たくさんの“本物のおもてなし”があるはずですから。
いよいよ開会式ですね。
今回の記録映画は河瀬直美監督の担当です。
当初は「復興~五輪実現」の流れのプロットが予定されていたようですが、まさかの誘致以来のグレーな経緯。そして開会式直前までのゴタゴタ。加えてコロナ禍の苦しみと来て、記録映画として選手たちが写る尺が残るのでしょうか?
監督は錯乱してしまうのではないかと本気で心配です。