点と線
劇場公開日:1958年11月11日
解説
ベストセラーとなった松本清張の同名小説の映画化で、「太閤記」の井手雅人が脚色、「月光仮面(1958)」の小林恒夫が監督した推理映画。撮影は「地獄の午前二時」の藤井静。「波止場がらす」の新人南廣に、山形勲・高峰三枝子・志村喬らのベテランが顔を揃える。
1958年製作/85分/日本
原題または英題:The Dead End
劇場公開日:1958年11月11日
ストーリー
冬の博多郊外、香椎湾の海岸の黒い岩の上に、男女の死体が並んでいた。検証の結果、合意の上の心中死体と断言された。男は〇〇省の課長補佐・佐山、女は東京赤坂の料亭小雪の女中・お時と判った。佐山の遺留品の中に、列車食堂の受取証があった。御一人様と書かれてある。老練の鳥飼刑事はそれに疑問を持った。男女は同じ汽車で来たのではないのか。博多の旅館を洗うと、佐山は一月十四日あさかぜ号で東京を発ち、東中洲の丹波屋に泊り、二十八日の夜、女性からの電話で宿を出、そのまま香椎海岸へ向ったらしいのだ。「小雪」の女中・八重子は東京駅で出発する二人を見かけたといった。一カ月後、警視庁捜査二課の三原刑事は福岡署へ向った。心中が汚職事件に関係あるとにらんだのだ。鳥飼の案内で現場を調べる。鳥飼は一人で調べた結果を話した。事件直前、二人を見かけたものがいる。しかし、女の方がお時らしくなかったことなどを--。が、確証はなかった。三原は帰京した。東京駅で、八重子の証言を思いだした。彼女はなぜこの頻繁な列車発着の中で、ホームをへだてた佐山・お時を見ることができたのか。助役室で、ダイヤグラムを調べ、一日に一回、あさかぜ発車の直前に四分間だけ十三番ホームから十五番ホームを見わたせることを知った。三原は八重子から、安田という男に佐山たちの姿を教えられたことを聞きだす。安田は○○省出入りの機械商人だ。○○省の石田部長と親しいらしい。彼に会うと、あの日は鎌倉で静養している妻に会うため東京駅へ行ったといった。心中事件当日は、北海道に出張していたもいう。三原は安田の妻・亮子を鎌倉に訪ねた。一冊の汽車の時刻表が枕元にあった。彼女の随筆に、彼女が時刻表に日ごろ親しむことが書いてあった。安田は証言どおり、事件当日、北海道で河西という男にあっていた。飛行機を使ったのか。青函連絡船の乗客名簿に、彼の自筆の署名が残っていた。しかし、ちょうど彼と同じ頃汚職の中心・石田部長が部下の佐々木を連れ、北海道へ出張していたことが判った。名簿には佐々木の名がない。三原は佐々木を問いただし、安田のアリバイを割った。--やはり、飛行機を使っていた。アリバイ作成には石田、佐々木らが協力していた。彼らは汚職の鍵をにぎる佐山を殺す必要があった。安田はそれを請負った。亮子は心中事件を計画した。亮子は夫の女、お時を憎んでいたのだ。目撃者づくりやアリバイはみんな彼女が立案した。海岸で、別別に亮子は佐山を、安田はお時を殺し、死体を並べて置いたのだ。--安田は破局を知り、囲い女を連れて逃げる寸前、亮子に毒殺される。三原たちが駈けつけたとき亮子も毒を飲んで、そばに倒れていた。